リサイクル親父の日記

第449話 「これッ」、おぅ~恐~~

2011/11/24

数日前の電話は、内容を聞き出すのに一苦労したからハッキリと覚えている
無愛想の極みであり、舌足らずの極致である。
一言しか答えないから、何度も繰り返して質問し続けて何とかおぼろげに分かるって感じだ。

指定された今日午後1時に買取に行った。
宮城県では名の知られた大手の会社の社宅は、4階建で4~5棟が建ち並んでいる。
部屋の表札と一緒に住居表示があって、青色プレートに白抜きで地番とA-105と読める。

彼女は内錠を開けると直ぐに後ろ向いて進む。
2LDK、玄関を上がって右に入るとキッチンと居間が続き部屋風だった。
居間では赤ん坊が食事中だ。

俺を見た途端に急に泣きだしてしまうが・・・俺はこんな状況が苦手でもある。
しかし彼女は赤ん坊に「静かにして!」と流しで何故か荒い物にとりかかって言ったから、俺は吃驚してしまった。
「買取品はどれですか?」と聞いたら、更に驚くしかないのだ。

洗い物の手は休めずに顎をしゃくって、「これッ!」と壁際の物を示すのだ。
白いPC机は薄汚れている、ガスコンロは酷く汚れている。
ノックダウンのレンジボードは組立不良個所多数あってぐらめいていた。

・・それでも赤ん坊が泣きやまない・・と・・やっと手を止めて赤ん坊に近付くのだ。
無言でスプーンを取って赤ん坊に食わせ始めたが、それでやっと赤ん坊は泣きやんだ。
「2点だけ買取できます、こっちは無理ですよ」

無言でチラっと俺を向いて、首を一度下げるが、俺は了解したと判断した。
「それでは運びます、お金はここに・・」と言って作業にかかった。
玄関を出るときにブーツがあったが、豹柄のものである。

何が不満なのだろうか?
どうして口をききたくないだろうか?
少し血走った感じの目付き、怒りを湛えているのか?

畳まれた段ボールが数箱立て掛けてあったが、引越しか、それとも離婚か?
険悪な雰囲気の買取現場もあるが、相手が1人で険悪感を漂わせているってのは始めてだ。
俺にも伝染しそうで、トラックに乗ってからラジオの音を高くして気分転換したさ。