2011/11/28
大震災からもう8月以上経ったのか思うと何とも言えない思いがある。
ありとあらゆる悲しい話が現実として突き付けられて、同時に人間の力の無さも感じた。
一方で人間の優しさと慈愛、博愛という貴重な思いを知ることができた。
店は場所柄、被災者が例えリサイクル品であろうが買い求めに来る。
今もお客さんが当時の話をしていくし、胸の張り裂ける思いで聞く話も多数ある。
同情と憐れみで濡れそうになる心を、できるだけ抑えて聞き役に徹する。
震災以降に顔を出さなくなった常連の方々も1月、2月と経つうちに徐々に来ている。
しかし未だに来ない方もいるので心配で仕方がないし不吉な思いが湧いたりする。
時間の経過とは忘却を示してくれるらしく、いつしか悲しい思いも薄れてくる。
先日、久しぶりに驚くお客さんが来てくれた。
彼女は看護師さんで、7~8年前からのお客さんで、赤い車に颯爽と乗っている。
身長が高くスマートで、それで仕事柄か筋肉もしっかり付いているので実に健康的なのだ。
レトロ志向であり、60~70年代頃の家電が大好きなのだ。
原色の食器や小型家電をこよなく愛している。
四半期に一度くらいの割合で仕事帰りに寄ってくれるが、2年前に遠くに転勤してからは半年くらいに間が延びていた。
昨年の暮れか今年初めに来たのが最後だったと思う。
その彼女が突然真昼間に現れたから驚いたのだが、お腹が大きく突き出ててもっとビックリぃ~~!!???
俺は再会を喜ぶのと、その異変の事情について聞きたくなった。
彼氏が岩手県の病院に勤めるちょっと遠距離恋愛だったが、津波で病院が流される。
そして地元の仙台で再就職できた、そんなことがあって結婚に踏み切ったそうな。
ダラダラ(失礼?)した付き合いを真剣に考えると、結論は結婚することに辿り着いたという。
離れ離れの生活が震災を境に近づいた。
なによりも震災の最中で互いの大切さを再確認できて深化させられたそうな。
「・・2月に生まれるの・・」
ぐっと優しさと微笑みが大きくなって眩しいほど喜びが感じられた。
「それじゃ、あれだね、シンサイコン」
「そうなりますね、震災婚です」