リサイクル親父の日記

第455話 ヒソヒソ心配する旦那さん~~

2011/11/30

「前にも来てもらった西中田のXXですが、又、来てもらえますか?」
リサイクルショップだから買取や引取に行っている所はかなりある。
だから、その口上にも思い出せる筈はないのだが、場所は近いので少しの興味はあった。

「引越し屋さんが10時に来るの、できればその前の方が助かるわ」
「スケジュールは取れますが、物は何でしょうか?」
「食器棚、メタルラック、小さいテーブルなの、古いのよ、10年ちょっと・・持って行ってもらえれば・・」

家具でも流行はあるし、形が古すぎると売れない場合もあるし、激安にせざるを得ない場合もある。
出張費と掃除の手間を考えると、ある程度の金額で見込めないと査定は出せない。
時に現物を前に落胆することがあるが、お客さんの説明と俺の想像のギャップが生じるのだ。

彼女は前にも出してくれたと言ってるし、リピーターのそのセリフに俺は弱いから・・・何とかしたい。
その日は2件目の予定だったが時間も無事に間にあった。
マンション3階のエレベーターの真ん前。

食器棚は相当古い形だが、小キズはあっても売り物になりそうだ。
メタルラックにはシールがペタペタとあったが、錆びてはいないから大丈夫。
ガラステーブルは3台セット、大中小が一つに納まるタイプで良品。

「大丈夫です、問題ないです」と若者風に伝えて引き取りを了解する。
部屋から運ぶ作業に移っていた。
すると、彼女の旦那さんが何か小声でささやいている。

2度3度部屋を行き来してた時、ヒソヒソ話が聞こえる。
「・・金・・かからない・・のか? 本当にかから・・・」
彼女が顔の前で手を左右に振っている。

「タダで・・イイんだ・・よ・・・本当に・・」
旦那さんの心配を除くため俺はもう一度説明する、「無料で引き取りさせていただきます、ご負担はかけません」
不安顔の旦那さんが笑顔に急変する。

次に彼は運び出しを積極的に手伝ってくれる。
「・・朝早くに御苦労さまです、本当に・・・リサイクル屋さんも大変ですよね・・」
処分費用をセーブできた嬉しさを満面に浮かべるのだった。