リサイクル親父の日記

第461話 レトロなポスターはいかが?

2011/12/06

数年間に買取に行ったお客さんから声がかかった。
昭和初め頃に建てた家を解体した時に押し入れや物置にあった品々の買取である。
日用品の数々ではあるが、現在は骨董と呼んだりできる物もあった。

そんな中に実に懐かしく思えるビールのポスターがあった。
和物ではなくて洋物と呼ぶ方が似合うから、一般的にはレトロでイイと思える。
ポスターは明治以降から出回っているが、とんでもなく高額な物、要するに珍重される物もある。

ビール会社のポスターには3銘柄が記されていて、真正面に婦人が描かれている。
白いワンピースにグリーンのスカート姿で、斜に構えて微笑んでビールの注がれたコップをかざしている。
背景は高原で青空に白い雲がたなびいているから夏であろう。

気に入った俺は、そのポスターもレジ後方の壁に飾っていた。
商品だから値札も付けてある。
会計の時にお客さんは嫌でも目に入るから、興味のある人は必ず反応する。

昨夕のお客さんは中年男性で趣味が骨董収集である。
10年来のお客さんだが、仙台市内の骨董店やリサイクルショップを巡っているし、ノミの市にも頻繁に通っている。
3.11で海岸近くにあった自宅は流されてしまい、収集品全てを失っていた。

「そのポスター見せて下さい」
俺は壁から外すとカウンター上に移す。
彼は毎度の通り隅々も表も裏も丹念で執拗にチェックする。

「シミが数カ所あるけ・・・顔には無いし・・復刻でもないな~~」
実はレトロポスターは人気もあって相当数の復刻版が出回っている。
昭和レトロ調の居酒屋などが流行っているので需要も多い。

「よ~し、それもらいます・・・その八角時計もイイですねぇ~」
ポスターは買うと決めたが、八角時計は眺めてうっとりするだけだ。
「この間、柱時計は買ってしまったしな・・それ安いですよね」

先日、埃まみれ状態で買取した八角時計だったが、掃除をして調整をしたら見事に(?)作動したのだった。
やっぱり初だし(うぶだし)の物は安く販売できるのだ。
彼は震災ショックを骨董品で癒すのだろうか・・・その一助になれればイイが。