リサイクル親父の日記

第464話 息子とお母さんの話が違うんですけど・・・

2011/12/09

マンション3階の寒風の吹く部屋の前で俺はたたずむ。
2回チャイムを鳴らすが応答が無いのだ。
ケータイかと考えたが、もう一度押すと、やっと応答したのだ。

ヌーッと頭から出て彼は髪がボーボーで「寝てたんで・・すいませんでした」と謝る。
寝てた言ってるがGパンにセーター姿だ。
照明が点いてないのとカーテンが閉まっているから、部屋中が暗い。

入口通路脇の部屋に入ると、居間からお母さんが眠そうな顔で入ってくる。
俺は昨日の電話と内容が違うのではと訝る。
トーンの高い軽い声は最初に出た息子だろう・・・

「家具全般ですが・・いろいろあって・・・冷蔵庫もあるし・・引越しで・・・骨董品も・・・」
ペラペラと軽~い口調だった。
「どれくらい前の物ですかね、古いと難しんですが」と聞き返した。

「タンスですね、それと靴入れる箱、靴箱とか・・冷蔵庫は10年くらいで・・・家具は1年前とか・・」
「分かりました、但し、買取できるかどうかは見てからですが」
「持って行ける物だけで、引き取ってもらえればイイんですが、引越すんで・・」

3LDKに母息子二人住まいらしいが、古いキズのある家具だらけだし、大き過ぎるワードローブなのだ。
冷蔵庫は一目で分かるが10年前なんかじゃない、取っ手で分かるのだが20年前である。
どういう訳か冷蔵庫2台と冷凍庫2台が居間に置いてあるのだ。

足の踏み場はあるが、家具には物が入りっ放しだし、床には僅かなスペースしかない。
家具を運ぶのにどれだけの準備作業と移動場所確保をしなければならないか・・・
「・・みな古いし・・買取も引き取りも無理ですよ・・1年前の物って、骨董品ってどれですか?」

3段引出のチェストだが、スリキズが大きく流れてる。
らっきょう形の花入れは、中国製の新しい物だが口に欠けがあった。
息子と話をして、ダメな理由を説明する。

息子は元気が無くなる。
俺の説明の途中でお母さんが口を挟む。
「分かったわよ、無理なのね、早く帰ってよ」

俺はムカッとしたが、石に念仏だと思って、言いたい言葉を飲み込んだ。