リサイクル親父の日記

第473話 同じ名字初体験、続編

2011/12/19

その家は佐々木さんで、そこの娘さんが俺と同姓の旦那さんに嫁いだのだ。
古い家の表札は佐々木であった。
冬だが穏やかな陽光がさしていて、風もないから割りと温め。

ドギマギしながら、「こんにちは、リサイクルで~す」と。
家の中で片付けをしてたご夫婦が揃って玄関に出てくる。
俺は名刺を渡しながら、「初めまして、この度は同じ名字の方に・・・とっても不思議な感じがしますね」と言った。

「わたしたちも、ホントに初めてお会いしました」
お二人は笑みをたたえている、俺も顔がほころびまくる。
暫し名字についての体験やいわれなどを語り合うことになった。

そして旦那さんのお爺さんが仙台出身で、その昔関東に移住したと分かった。
互いに何とも言われぬ感情や嬉しさを押さえながら・・仲良く談笑するという気持のイイ時間が流れた。
「もっとお喋りしてたいんですが、そろそろ検品を・・・」

お二人は居間から和室、奥の部屋、台所と案内して、リサイクルに向きそうだと思う物を教えてくれる。
俺はそれはそれとして、それ以外の物についても興味がある。
「これもイイですか?」なんて連発する。

「そんな物も買取するんですか?」とカウンターがくる。
「日用品、消耗品、焼き物、雑貨など何でも扱ってますから・・あっ、このカメは古いし、この辺も大丈夫ですよ」
「骨董品もやるんですね、車に積んだやつも見てください」

どうやら骨董品は骨董屋さんに持ち込みする予定だったようだ。
俺は骨董品を見て「茶釜も大丈夫ですよ」と答える。
ある時から、奥さんは俺の真意を理解したのか、あれもこれもと自らいろいろと品々を推奨する。

同じ名字ということが俺らの心を通じ合わせていた。
ほんのさっきお会いしたばかりなのに、旧懐の念が強く湧いていて和やかにことが運ぶ。
その日は乗用車だったので、割れ物や小間物だけを積んで帰る。

翌朝、1トントラックをチャーターして向かった。
昨日同様にお二人は積み込み作業を手伝ってくれる。
作業終了後に俺はお願いをする。

「できれば一緒に俺のケータイで写真を撮らせて下さい」
もう二度と会うことはないが一生の記念撮影か、しかも、もう何十年も写真を撮らない俺が・・・