リサイクル親父の日記

第476話 嬉しや淋しや、初だし品の早いこと

2011/12/22

ちょっと前に買取で伊万里の焼き物5点と他に重箱、火鉢などを仕入れした。
良品がまとまって手に入ると、ディスプレーを少しいじりたくもなる。
レジ近くの棚の上段に目立つように大皿2枚を並べる。

鉢はガラスショーケース下段に置くと見下ろす感じになるが、絵柄模様が麗しい。
常連さんから電話で「・・ところで何か入ってる?」と聞かれる。
名のある品や骨董好きな彼の好みは知っていたから、「古い大皿と鉢を昨日買取しましたよ、江戸末期は間違いないし、完品ですよ」

「なぬっー!!直ぐに行くから」とガチャッと電話が切れる。
1時間後に彼は店にスタスタ入って来ると、それらを眺めて唸っている。
彼がほれ込んで見ている姿を見るのが、俺の嬉しさにもなるし、張り合いにもなる。

まさか3点も買うとは思わなかったのだ。
「なかなか出合えないし、これを逃すと・・・これとそれ、あれも・・幾らかサービスしてよ」
商談成立、彼はセブンイレブンから金を引き出して清算する。

模様替えしたディスプレーは1日も経たずに淋しくなってしまう。
商売としては、仕入れ資金の回収も終えたし全体での利益も少々上がったから、喜ぶべきなのだろう。
売れた余韻を確かめるべく残った大皿と中皿を間延びした棚にそのまま飾っていた。

翌日、別の常連さんが習慣として来るのだが、4~5日振りに顔見せる。
「おぉ~っ、大きい皿だな、古いのか、見せてよ」皿立から手にとって検品し始める。
彼も骨董愛好家なのである、数日おきに来ては初だし物を探索する。

以前に迷って買わずに帰ったことがあったが、2~3日後に買いに来た時には売れてしまっていた。
それからは彼も又、即断するようになっている。
「これ、もらうわ!」声に力がこもっている。

そんな訳で、俺が気に入った焼き物4点が2日間で売れてしまう。
初だし(うぶだし)とは、直接所有者から買い取ったことをさす。
セリやオークションで仕入れる場合と違って意外に安く仕入れができて、結果、売値も安くできる。

常連さん二人は骨董屋回りもしているから相場も詳しい。
俺の店に来る目的は唯一つ、相場よりも安く骨董品を買うためである。
各々の好みがあるけれど、好きな物を安く買えれば嬉しさも倍加するのだ。

初だし品は常連さんにヒットすると足が物凄く早い。
それにつけても俺の天邪鬼よ、売れると惜しかったと思い、売れないと早く売れろと思ってしまう。