リサイクル親父の日記

第498話 あんまりじゃないかと感じる買取現場

2012/02/02

「今度、家を解体するんですが・・・家具などを買取してもらえませんか?」
震災以降は解体に伴って家財道具類の買取依頼が増えている。
去年春頃からそんな買取が始まっているし、毎月の様に話がくる。

2月は予約が3件入っていた、今日は1番目へ出張してきたんだ。
「父が大工仕事だったし、工具や道具、木材料なんかも・・・置物にもたくさんあります、家具も・・・絵も・・・」
そんな説明だったから決めたし、その日少し雪の残る道路を注意して1時間以上かけて行って来た。

築40年以上の1軒家は朽ちているのと地震の影響で傾いても居る。
電話をしてきた奥さんの旦那と思しき男が、解体前の最後の片付けをしている。
玄関を入った時にガラスケース入り帆船模型と額入り絵などがあって、俺はこれはイイかもなんて思った。

彼は居間に先導すると、「これはどうですか?」「このタンスもどうですか?」と凄く古い品々を指す。
その言い方と勧め方に違和感を感じた俺は無言でうんうんと頷いただけ。
そして、「他の部屋にも何かありますか?」と先を促す。

そうして6~7部屋を回っても、遂に俺の欲しい物がないのである。
「最初に見かけた絵や帆船、それに大工道具などは買取できますが・・」
「あれはダメです、僕が持って行きますんで!」

「冷蔵庫や洗濯機はどうですか?」懲りもせずに駄品を勧めるのだ。
「どちらも古すぎますよ」俺は切り返す。
無駄足は避けたくて、もう一度駄品の中から何とかなりそうな物を選ぶしかない。

90cm幅の食器棚1台、中国土産のコルク細工置物、新古のアタッシュケース、洗面所のステンシンクを足台くらいは稼ごうと無理して選ぶ。
たくさんある筈の置物とは旅先土産品で貧弱で小さな物ばかりだったし、ごっちゃに段ボール箱に詰めているから商品になるる訳がない。

大工道具は全て持って行くというから話が違い過ぎている。
「外の倉庫に色々あるんで見て下さい」男が言う。
倉庫の前に行くと、「この中はどれでもイイですよ、タダでイイですから」

乱雑に物色された後だったしゴチャゴチャだから、俺は首を回してグルッと見渡す。
何も無い、と扉に立てかかってある大ハンマーとツルハシを見つけた。
「これを持って行きましょう」

すると、男が「そ、それは僕が使いますんで」とキツネ目を一層と吊り上げる。
電話とも、さっき自分で言ったのとも話が違い過ぎる。
俺は堪えて、買取品を積み込むことにする。

何回か家とトラックを行き来している時、男は誰かに電話している。
「・・ちょっとしか買えないって・・たったX千円だってさ・・・しょうがないし・・・」
俺、何でか知らないがムカムカと腹が立ってきたが堪えた。

1時間以上かけて二人で出向いて、数点の駄品を買うのだった。
無駄足にならない訳はない。
話が違うよ、まったく。