リサイクル親父の日記

第499話 シエーッジュウタクゥ~~~から

2012/02/05

「持って行けねぇからよ、持って来るからさ・・・」
年金暮らしの常連のおっさんが「金はいらねぇよ、店で売れば何ぼかになるだろ?」
引越しで部屋が狭くなるために持ち物が余るという、それを引き取ってと言ってる。

エアコン、コードリールテープレコーダー、水槽、釣り竿材料、ゴムボート2隻、液晶モニターなど・・・
おっさんは多趣味なのである。
以前から自分の気に入った物を買っているが、全て趣味に関係してる。

「なんで・・どうして要らないの、使わないのよ?」
俺はもう10年も友達感覚で接してるから、いつものようにフレンドリーに聞く。
「狭くなるんだよ2部屋の仮設でさ、今は3部屋あるし、2年間はそこで暮らすんだ」

おっさんはバツイチの優雅(?)な1人暮らしで、歳も歳で行政から色んな優遇や特典があるらしい。
いつも子分の様な友達とつるんでいる。
オーディオ大好き、釣りも温泉も大好き、大正琴にカラオケ、金プラチナも大好きだし、車にもうるさい。

俺はチョッピリだけ羨ましさも感じるが、あの自己中心的な考えや行動には呆れる時がある。
おっさんの話を聞いていると、かなり強引だしマナーが悪い。
でもまぁ、ガラガラしてるが飴や菓子を差し入れたりと可愛いところもある。

その辺は俺も心得ているから、売れ難い物などで十二分にサービスしている。
「出る時に全部持って行かないといけない、エアコンは外して、でもどうしようもない」
俺も店で売れる物であれば引き取りもできるが、ゴミはどうしようもない。

「市営住宅が半壊なんだってよ、4月から仮設に移れってよ」
「エッ、今頃?シエーッ!!!」
冗談半分で俺は奇声を上げる。

「金はもらえるけどよ、でも面倒くせぇしな・・その内に持って来るよ、いいだろ?」
半壊認定の市営住宅に住まわせる訳にはいかないから、退去後に解体して再建するらしい。
捨てる神にもらう神か、そして買う神、それがリサイクルかも知れない。