リサイクル親父の日記

第505話 シカキューはいかがでしたか?

2012/02/14

リサイクルショップって摩訶不思議です。
連日のように買取をしてると、見たことも聞いたこともないモノに出会う。
好奇心が異常に強い(?)俺にはその出会いが面白くて楽しくて仕方がない。

同時に飽きっぽい性格でもあり、その出会いがありきたりなモノばかりが続くと退屈になる。
イイ物、美しい物、珍しい物、希少品、などとの出会いであり、そして触れることの喜び。
美術館や博物館、高級店では触れないよ、それが一時的でも自分の物として好き勝手に触れる。

門前の小僧習わぬ御経を覚えるの如し、いつの間にかイイ物の見方が身に着くようだし。
出張買取から戻ると、「あの急須が売れました」と報告を受ける。
何故急須が売れて報告をする必要があるかいえば、それほど特徴的なものだからなのだ。

飴茶色の急須は、注ぎ口部分が鹿の頭と形である。
全体が鹿をイメージしてあるが、どうして鹿かは不思議でしょうがないが、注ぎ口が鹿の口になっていた。
1年前の買取だったが、黄ばんだ紙箱で押入れの奥にあったが、かなり年数が経ったいたんだ。

何人ものお客さんが珍しさに魅かれて手にするが、誰もが買う勇気を持てなかった。
俺は題材にしてお客さんと会話を楽しんだり、会話のきっかけにしていた。
新品の未使用だが値段は500円、ジョークで買ってもイイかってことだ。

どうやら買ったのはおばちゃんらしい・・・
翌日の午後に年配の女性が店に入ると、レジと反対側の家具売り場に向かう。
「多分、あの人が昨日急須を買ったはず・・・」と呟きがする。

「ウ~ン、シカキューを買った人!」
鹿の急須、シカノキュウスはシカキュ―と詰めてしまう俺の悪い癖。
おばちゃんは家具売り場で椅子を選んでいると、寸法を測ってちょうだいと俺を呼ぶ。

その後に「昨日の急須どうでしたか?」と聞いてみる。
「すっごい評判悪かったわ、みんな、どうしてこんな物買ったって」
俺は少し残念だったが、でもしょうがないかとも感じる。

「でもね、わたしは面白いし、飾って置いてもイイかなって・・・それと・・注ぐ時に口からも出るの・・漏れるのよ」
そう言えば、鹿の口は頭部に開いているから、口先の外側からもお茶が出てしまう。
「だから注いだ時に、サッと急須を上にしないと・・ダラダラに・・でも楽しいわよ」

これだけ楽しさを共有してもらえると俺の嬉しい。
「わたしさ・・温泉とかで動物の口からお湯が出てるやつ・・あれ好きなのよ、マーライオンもそうでしょ?」
そうだよ、龍やライオンが口からお湯を出してるな~~~鹿がお茶を出してもおかしくないぞ!