リサイクル親父の日記

第506話 嬉しい買取リピーターに・・・

2012/02/16

ちょうど1年前の良品買取は凄く助かった。
大震災で店が再開できない時にネットで何かしらの売上が作れたのだ。
ネットオークションは全国の人がお客さんになる可能性がある。

電気が通じてPCが動けば商品はアップできるから、まぁ開業してることになる。
水道もガスも復旧せずとも、入金確認と宅急便が正常であれば発送もできる。
仙台市太白区向山の住宅街の立派な家からの買取依頼だった。

「大っきい木彫りの牛とか食器っていうの?コップなど・・いっぱいあるの、直ぐ来てもらえる?」
その大っきいという表現が気になって寸法を聞くと、「幅40cmの高さ50cmくらいで大っきいのよ~」
と真顔(?)、電話だから顔は見えなかったが、その物言いが逆に引っ掛かった。

察するに、金持ちの父親が趣味で買いあさった品々が無造作にそこここに転がっている。
俺は凄く嬉しくなるが、期待は裏切られる。
俺がイイと思った物の9割は引越し先に持って行く、或は、知合いに譲ることになっていた。

亡くなった父親の息子さん、その奥さんが電話をしてきていたのだが、拙い物言いは納得できた。
物の良し悪しも分からずに夢中で表現するしかないが、的外れも案外というか、逆もまた真なりだった。
木彫り牛の他に外国製パイプ多数、ブランド洋・和食器多数、絵画数点などは買取できた。

店売りでは売れ行きは良くない、だからネットにも出品していた。
ネットの反応はとても良かったから俺は頑張った買取に満足も感じていた。
そんな時にあの大震災だったのでショックは大きかった。

陳列してた品は壊れるし、落札者には連絡が取れなくなってしまった。
再開後に連絡ができて、俺を心配していただいたりと感謝は尽きない程。
そんな日々にネットでかの品々が落札されるのだった。

出費が膨れ上がる中での現金収入、金額以上の勇気と希望を与えてくれた。
2~3ヶ月は品物も続いていたから本当に救われた。
品物が売り切れて一抹の寂しさを感じたが、時が経つと記憶も薄れていく。

昨日の昼下がり、ケータイが鳴る、見覚えのない番号表示。
「木彫りの牛を1年前に買取して・・・そちらでよかったでしょうか?」
瞬時に記憶が蘇るので、「そうです、うちですよ、又、何かありますか?万難を排して行きますよ」

「今はアパート住まいですが」息子さんであることは間違いなかった。
同じ向山ではあるが、元の家とはかけ離れた住まい、古びたアパートの角部屋。
玄関のキッチンに彼は品々を奥の居間から持って来る。

「震災前に家が売れたんで・・」ボソボソと話してくれた。
靴は男物しかないから、若奥さんはどうしたんだろうかと気になった。
そうだったのか、彼も何かの事業をやっていた様子だったが・・・家を手放すほどの窮状だったのか・・・

今回は1年前の品とは趣が違っている。
俺からみれば、前回の方が遥かに良品で珍しい物が多かった。
今回はありきたりの良品であり、珍しくも面白くもないのだ。