リサイクル親父の日記

第512話 ガレキの上を渡る危険な買取

2012/02/27

被災地なので家の解体が盛んなのだ。
建築や解体業者は宮城県内だけでは足りなくて他県からも大勢来ている。
中には5~10年先まで留まる人たちもいるようだ。

大手ゼネコンの下請けや孫請けとしてのようで、宿舎を建設している業者もいる。
そんな解体業者から買取依頼があった。
店まで来て現場まで先導するという熱心さだったからほだされてしまう。

丘の中腹の団地の袋小路奥の一軒家、トラックを頭から入れたら、バックで入れ直せと指示される。
家は解体されててガレキの上にユンボが乗っている。
ユンボを少し移動してアームを下ろすと、そこが家の奥に行く通路になる。

彼らはガレキの上をポンポンと進むと大きな段ボール箱を抱えて戻って来た。
「ど~や、エエもんやろ・・新品やでぇ・・何ぼで買うてくれる?」
「ぎょうさんあんや、いろいろあるで、靴も、シャツも、キャップもな・・・」

仲間は5~6人で作業していたが、全員が奥からの運び出しにかかる。
次から次に段ボール箱は俺の目の前に積まれる。
俺は員数をチェックするのに集中してて気づいた。

「ちょっと待ってよ、同じ物だけではダメさ、他の物はないの?」
それで俺が直接ガレキを渡って、奥の倉庫に行く。
倉庫は半壊してるが、どうやら店舗什器に商品在庫が詰まっていた感じ。

滅茶苦茶に散乱してゴチャゴチャした中から売り物になる物を探す羽目となる。
「おっちゃん、おっちゃん、これどや?」「こっちにもエエもん、あるよって」と四方八方から声がかかる。
若者相手のブランドショップ系と想像できた什器にはイイ物が数点あった。

しかしガチャガチャとユンボで壊されたようで使い物にはならないのだった。
「おっちゃん、高う買うてな、もっと足しといてぇや」
彼らは価格交渉でも関西人特有の攻め方をしてくる。

床が隠れてて上に散乱して荷物があるし、ガラスが割れて散らばってもいる危険極まりない。
斜めの段ボール箱を開けようと引っ張ると、グラッと倒れてくるわ、足元がぐらめくわ・・・
寒空なのに薄らと汗が浮く、欲しい物を抱えて戻ろうとする。

ガレキの上を壊れたベニヤ板などが覆っている、その破片上を用心してあるくのだ。
抱えた段ボール箱が邪魔で足元が見えない、1っ歩、2歩と進むとズルッと滑ってしまう。
う~~ん、これも俺の仕事、最大の注意をして、リスクを最小限にして買取現場を行く。