リサイクル親父の日記

第515話 体力に自信がないもんで・・・

2012/03/03

12階からソファーを運ぶなんてできる訳ながない。
買取依頼の電話に俺は喜んだ。
「半年前に買った革張りソファーですが、勿論状態はイイですよ」

「何人掛けですかね?メーカーは分かりますか?」
「2人掛け、3人かな・・東京インテリアで買ったけど、うんと高かったんです、20万円くらいかな」
「そうですか、買取できますね、しかし、高い値段では買取はできませんけど、ご希望金額はどれくらいですか?」

俺は高級高額品で真新しい場合には、お客さんの希望を聞くことにしている。
買取金額が折り合えずに不調に終わることが多いし、だから電話でも事前に知ることも重要なのだ。
最終決定は現物を検品してからだが、金額が遠い場合には出張が無駄になる。

「特に金額にはこだわらないが、1~2万円でもイイですよ」
「えっ!?それ位でイイんですか?20万円だったんでしょ!」
「急に引越すようになって、持って行けないし、ただ・・」

「そうですか、分かりました」と俺は希望金額の安さに驚いた。
「エレベーターに入らないのよ、だから階段で運んでもらったけど、下ろすのも階段で・・」
「そうですか、それは困りましたね、何階ですか?」

「・・うん、マンションの12階なんですよ、大丈夫?」
俺は血の気が引いて、言葉も出ない。
「・・!!・・・う、ぅ・・・」

20万円のソファーであれば重量も重いはず。
革張りであれば持つのも滑り易くてズルズルと落ちたりする。
本当にソファーの重いのは持ちづらくて大変苦労をしている。

上階に上げる場合よりは少しは楽だろうが、階段の勾配とか広さの問題もあるけど・・・
これは想像を絶する難業である。
商売以前である、儲けなくてもイイ、怪我はしたくない、ソファーもキズだらけになる。

リサイクルショップという仕事柄は色んな物を取り扱う。
俺の流儀、又は決まりというのがあって、安全第一が最優先なのだ。
二人で持ち運びができて、尚且つ危険でないことが取り扱う物の規定である。

「すいません・・12階では体力的に無理なんで・・引き受けられないです」
今度は彼が、「・・・う~ん・・・」無言に・・・