リサイクル親父の日記

第517話 2階建て一軒家、でも居間だけで生活する不思議 

2012/03/07

店から1時間ほどの郊外の住宅地、2階建の1軒家は直ぐに分かった。
新興住宅地は区画が整っているし、どの家も同じ感じを受けるのは、建築業者が同じなのかもしれない。
歩道も街路樹もあり過不足なく整備された区画は、15年くらいしか経っていないだろう。

住宅街外周の道路沿いだが、外周道路から直接は入れない。
少し先の角を左折して少し進んで、又、曲がった一番奥なのだ。
白い外壁が雪に霞むというか、雪の純白さに負けて灰色ががって見える。

玄関ポーチに立った時の不自然さはなんだろうかと気になった。
彼が玄関を開けて中に入いると、更に不自然さが増した。
居間にコタツと簡易ベットがあるし、キッチンは兎に角さびし過ぎるほどガラ~ンとしてる。

廊下を挟んだ和室には洗濯ものが干されているし、続きの間にはガラクタが乱雑に置かれている。
「この食器棚、あとは2階にタンスが・・・」
2階に婚礼家具が4~5点ある、「これ全部ですね」と説明している。

家中を一応見たが、買取できそうな物は数点だけである。
それ以上に不思議なことは、間取りから言えば家具も何もかもが少なすぎる。
「今月中に引越すんで・・・出張が多いから、日程を合わせて欲しいんで・・」

中年で脂ぎった表情に派手なシャツや靴が、やはり違和感を強めさせた。
これは俺の得意な想像だが、離婚して家も売るのだろうか。
15年くらい前にマイホームを持った。

離婚して相当の間は1人暮らしを余儀なくされた。
だから奥さんの物と思しき物は婚礼家具だけ残った。
1人で生活するには居間だけで十分なので、そこに集約していた。

リサイクルショップの買取では時々離婚の片付けに出くわす。
そんな時は人生とやらを考えさせられる。
合わなくなった場合に離婚して別々に生きるってのは当然だろう。

一年前の震災では、震災婚も多かったが、裏腹に震災離婚もかなりあった。
人生ってどんなんだろう?
俺はこの商売で色んな人の人生を垣間見てるが、疑問ばかり多くなっている。