リサイクル親父の日記

第529話 苦労するよ、そんなにずるいんじゃ

2012/03/27

今朝も朝一番で学生の卒業引越しの買取に行ってきた。
仙台市青葉区五橋付近は超中心部と言っても過言ではない。
20階建の賃貸1ルームマンション、1フロアー5~6室だから細長い。

白とグレーが基調のモノトーン的なデザインが現代的だし、1階エレベーターホールは気持ち良い湾曲をなしていた。
出勤時間帯でもあり住人のサラリーマンやOLが出かけて行く。
合間を縫ってエレベーターで13階に上る。

「ここの物全部です、お願いします」と彼は元気よく言う。
「電話で聞いたよりも増えたんですね」
確か家電4~5点だったのが、家具も何もかもだというから相当増えてしまう。

物が増えるのは悪くは無いが、運び出しに時間が相当かかりそうだと感じる。
エレベーターは小型で台車1台しか入れないから往復する回数が5~6倍になる、同時に住人の使用に支障をきたすかも知れない。
「えぇ、やりましょう」と受けて査定に移る。

「あれっ、これ傷ついてますね、この棚は壊れてますよ」と気づいた欠点を指摘する。
「去年の地震の時、倒れたりして、それで・・」
「13階だからね、かなり揺れたんじゃない、他に地震で傷ついたものはないの?」

ちょっと考えた後に「ないです」と彼はキッパリ宣言する。
1時間後、部屋には何も無くなって陽光が眩しい。
「今日、この後帰るんです、就職先は神戸の方です」

「就職できてよかったね、頑張ってくださいね」
俺は自分の子供に向けるような思いを込めてエールを送る。
そして2番目の買取先に少し遅れ気味に急いだ。

店に戻り倉庫に降ろして、しかし欠品してるテレビはレジに持って来る。
3月末で地デジに完全移行するから、ずっとテレビは欠品傾向にある。
入っちゃ直ぐに売れるの繰り返しでいつも欠品って感じ。

アンテナを繋ぐ、スイッチを入れる、音声が聞こえる・・が・・・
映像がパッと現れる・・が・・何かが違うのだ。
画面右下に黒い円が、そこだけ映っていない、更に注視すると縦横の筋が数条ずつ出ていた。

見て見れないことはないが、とても正常とは言えないし、売り物になる筈もない。
地震で画面に何かがぶつかってしまっていたのだ。
彼のこれからの人生、作為的な嘘うをついてどうする?