リサイクル親父の日記

第541話 空っぽの大金庫を・・・

2012/04/29

「この金庫も持って行ってもらえない・・・、助かるんだけど・・・」
俺は即決で断る、「無理ですよ、運ぶのにとんでもなく手間暇がかかるし」
幅90cm高さ1m60~70cmでは2~3人ではビクともしない。

狭いマンションの奥の部屋からとなれば尚更できやしないし、危険極まりない。
「昔わさ~現金をいっぱい入れてたけど、今じゃ・・空っぽだよ」
金融業の男は声と肩を落として嘆くのだった。

「震災ガレキ片付けのバイトをしてるし、運ぶのは俺らもやるから・・何とか引取して欲しんだ」
数年前の事務機の買取依頼電話に呼ばれて行ったら、買取なんてできる代物ではなかった。
「古くて、それに汚れてるし・・すいませんが買取できませんし・・無料でも難しいですよ」

仙台駅近くの古いマンションの3階と13階に金融業の事務所を構えてる。
それを13階だけにするのだが、事務機類が余ってしまう。
しかし全てが古い型でキズも錆も汚れもそれなりにあるから、搬出費を考えると合わない。

街金は金利制限ができてから経営が悪くなっている。
高金利時代には笑いが止まらない程儲けていたが、その後の法改正以降は凋落した。
サラ金も随分減ったし、街金も減っているし、でも現在も継続してるということに俺はむしろ驚いた。

今朝引き取りに行ったが、準備を何もしていなかった。
その場で引き出しから書類やファイルを抜き出す、ゴチャゴチャとしてる中での更なるゴチャゴチャ増幅。
「段取り悪くて・・申し訳ないね」一応謝っているが、言葉だけ。

バイトをしながら金融業ってもの珍しい。
家賃も稼げるかどうか怪しくなっているのに金融業を諦められない。
リサイクルショップをやってから色んな職種の所に出向いた。

その裏側というか実際の現場を目の当たりにする。
廃業や潰れる店の現場は何処も似たり寄ったりの散乱と混乱がある。
裏を返せば、だらしない経営は潰れる証左かな。

俺の店は大儲けは不可能で、日々コツコツと労力を惜しまず働いてやっと何とか経営できている。
厳しいが大損はしない、それが一番だと思っている。