リサイクル親父の日記

第546話 その朝、俺は腰を・・・

2012/05/12

なにせ極貧零細なリサイクルショップなもので、少人数体制なもので・・・
最低限の人数で切り盛りしているから決して万全なんて言えない。
誰かに何かあったら崩壊しかねない、そんな経営を強いられている。

かなり前までは連日何かしら出張買取や配達があったから、ある程度合わせた体制。
5~6年前頃からは右肩下がりに低調路線になったので体制も合わせるようにしていた。
裏返せば、競合他社が勢力拡大してるので俺が地盤沈下してる証し。

忙しい時に合わせた体制は普段は暇を持て余すことなので、無駄は避けている。
どうしても人手が足りない時、それも火急の時ではなくて事前に分かる時だけ臨時におっちゃんを頼んでいる。
最大の費用対効果の実現であり、突発の人手不足は仕事を受れないという具合。

売上は下降路線を免れないが、不思議なことに最低限の利益だけは確保できている。
この辺がリサイクルショップの底力かも知れない。
簡単には潰れない、潰れ難い、何とかなっている所以。

最新流行品が集まらなくても、そこそこの中古品が集まれば、そこそこの年配者が集う。
最新や最先端を競う商売ではないのだ。
メジャーなチェーン店などには敵わないが、その狭間のニッチには何とか対応できている。

「老人ホームに居た叔父が・・それで、冷蔵庫や家具などが不要になって・・・」
おばちゃんの叔父は相当な高齢者に思えるが、店の近くなので翌朝出張した。
時々あるのだが、老人ホームでお亡くなりになっての片付けの買取や引取。

施設は新しくて玄関も廊下も広く明るくてバリアフリー、エレベーターは広くてゆっくり昇降する。
老人たちが ゆ っ く り と行き来する。
看護師さんやヘルパーさんたちがとっても若々しく感じられる。

俺らはスローモーションのように作業をして運び出したいた。
冷蔵庫にコタツ、チェストやら衝立などを・・・
床に置いてあった籐の衝立を腕だけで持ち上げようと上体を捻って回す。

左手に掴んで上げて正面を向くと、腰が、背骨の真ん中あたりにギュッと痛みが走る。
ひょっとして!!!鈍痛が大きくなる、腰が苦しくなる。
何処彼処に取り付けられた手摺が頼りだ、老人ホームで助かった。