リサイクル親父の日記

第560話 見た目でイイって、本当にイイんですか???

2012/06/22

同じ人が2日続けて金を持ち込んでくるなんて、それ自体が驚き。
中年で小柄、頭も薄くなってるが、衣服の質が上等だと思えた。 
話し方が地元を表しているが、説明の仕方が不可解さを持っている。

「随分前に、高かったんだ・・・でもよ、今は着けなしさ・・・」
ダイヤ入りの18金指輪に龍のタイタック、龍の刻印には少々不安を感じた。
田舎のおっさんには似合わないような、いや、ガラッパチおっさんには似合うのかもしれない。

「どこに持って行っても安っくてさ、ここはどうなんだい?高く買うのか・・」
「うちも相場でしか買えませんが、若干の手数料があれば・・・頑張りますよ」
「おっ、そうっか、それじゃ頼むか」

大上段に構えてくるあたりはかなり自意識過剰型であり、以前は羽振りが良かったらしい。
しかし、決め方は大変大雑把ってタイプ、自尊心をくすぐると落ちやすいタイプとみた。
検品や相場を調べながら、彼に話をさせ続けてた。

「出ました、指輪がXgでX万X,XXXX円、龍は・・・・合計・・・・円ですね」
「もう少し足せよ、切りよくさ」
損はできないから、買取もしたいし、言い分を素直に聞いて切り上げて交渉をまとめる。

その後が長かったのだ、延々と自慢話をし始める。
「ベンツを2台、買い物用にクラウン・・・だってよ、毎月3千万円入っててよ、だから、買えって持って来るんだよ・・指輪も買ってやったんだけど・・金の腕時計もあるよ、着けねぇしな・・次、持って来っから頼むぜ・・・」

こんなやり取りをしたが、彼をどう理解できるだろうか?大ぼら吹きか嘘つきか・・・
翌日開店早々に彼が来る。
「時計、持ってきたよ」とポケットから無造作に出してくる。

数回金時計を売買した経験はあるが、思いの外に金の使用量は少ないのだ。
薄い金プレートが貼ってあった程度、ムーブメントなどは異質だから見かけよりもすっと軽い。
ところがその腕時計の文字盤にはメープル金貨が使われていたのだ。

バラバラに解体して金だけを測るのが鉄則だが、その結果不調だったら元には戻せない。
俺、すこし考えた。
メープル金貨は決まってるから、それをベースに査定する。

「バラすのは・・・だから、おおよそで、1~2日預からせてもらって、今日は概算を了解してもらえれば」
「イイよ、見た目で・・・えっ、もっと出せよ、又、来るのも面倒だろう」
有難い申し入れではあるが、指し値に迷った。

でもメープル金貨は大丈夫だろうと、目一杯で買取してしまう。
それから彼は昨日の続きの話を鼻の穴を大きくしながら続ける。
かの悪名高かったねずみ講的商売の東北第1号って訳だよ。

そりゃそうだ、あんな商売、子、孫を増殖して上がりをパクリまくる。
随分前だったが近未来通信の事務所買取もやったが、凄く類似してるオーナーの姿、暮らしぶり、生き方ではないか。
翌日、俺は金をいつもの買取屋さんに出した。

目の前で時計をニッパーでバラしていくと、メープル金貨はペラペラなのだ。
「金貨が文字盤の場合は、薄く削ってあるんですよ・・・重さは・・Xgですね」
俺はガクッと落胆してしまう、紙状に削られた金貨(?)は本来から程遠く6分の一になっていた。

何年経っても、俺はド素人なんだなと反省するしかない・・・・ぐやしぃ~~~