リサイクル親父の日記

第561話 針金のタナですよって言われても・・・

2012/06/26

リサイクルショップだから、買取依頼は電話が圧倒的に多い。
兎に角見に来て下さいと言われても、何でも買取・引取する訳にもいかない。
どんな物があるかを聞き出して、ある程度の想像をしてから判断する。

基準は売れるかどうかの一点にかかっているが、基準レベルを上げ過ぎると物は集まり難くなる。
緩くすれば集まるが、同時に手間暇がかかり過ぎる物だったりして、利益がサッパリってこともある。
電話で想像するのには慣れているし、経験も厚くなっているが、それでも分からないことがある。

「ワイヤー?・・ワイヤーでできてる棚、針金かな?棚が4段付いてるやつ・・・」
多分、枠が鋼製で、棚板4枚なのだろうと思えたし、他にソファーベットもあると言ってた。
「泉区泉中央2-X-XX-203、名前はスズキXXX、電話番号?そっちの電話で分かんないの?」

こんな言い方は面倒臭がり屋で威張り気味の男を想像させたし、相当に荒っぽくもある。
マンションに着くと、建物は4階建て、1階はテナントで事務所、2階から上が部屋になっている。
ポンポンと階段を上がったが、そこは2階ではなくて1階表示、更に上がって2階だった。

「あ~、一番下は地下1階だよ、ここは間違いなく2階」でも俺には実質3階に思えるのだが・・・
傾斜地に建つ場合にはベースをどこに置くかで表示が変わるって訳。
「ソファーベットはこれだよ、綺麗でしょ?・・・俺も手伝うし、兎に角下ろしましょうか?」

ソファーベットは大きくて重くて、それを階段で下ろすのはキツイ作業だし・・・
「俺、昔、引越し屋にいたから・・大丈夫だよ」
彼は確かにガッチリしてるし力がありそうだ。

「棚はこれ」って、それはメタルラックじゃないか。
二人で下ろしたが、上り下りの時に少し会話をする。
「昔、引越し屋さんね、それで今は何やってるの?どんな仕事ですか?」

すると「営業、営業だよ、金取りイイしさ」
引越し屋に勤めた割に家具の名前も知らないし、普段の言葉使いもなってない。
仕事を聞くと職種を答えるなんて、こんな彼はどんな営業をやってるんだろう。