リサイクル親父の日記

第573話 洗わなくってイイからさ~~

2012/07/19

俺にはできないが、ランダムに白物家電を買いに来る人たちがいる。
冷蔵庫、洗濯機、炊飯ジャー、ガスコンロ(ガステーブル)が多いが、季節によってヒーターや扇風機、コタツなども買う。
時に、各2~3点ずつの場合もあるが、しかし全品が揃っていることはない。

何故なら、彼らが求めている安い物は点数が少ないのだ。
彼らは方々のリサイクルショップを探し回って必要な物を揃えている。
1軒当たりの予算があるので、予算内に収めるために努力している。

ホームレス自立支援をサポートしてるNPOなのだが、代金は最終的にホームレスの負担となる。
自立するための初期費用を極力抑える目的もある、部屋代や日用品もかかるからね。
今年は冬に頃に数回来たが、それ以来だ。  

「おっ、冷蔵庫安いのあったね、ジャーももらうよ、カラーボックスもっと・・・プロパンガスコンロないかな、安いの」いつものように店内を急いで一回りして買う物を決めるのだ。
ガスコンロは都市ガスとプロパンと各数台ずつ揃えてあったが、予算が合わないらしい。

「倉庫に洗ってないのがありますが・・・安くてもイイし・・」
「そ、それでイイよ、持ってきてちょうだい・・・お~上等じゃない」
店としてはちゃんと洗って綺麗にして陳列するから、棚が埋まっていれば倉庫に入れておく。

洗わないから汚いのかというとそうでもなくて、少し洗ってやればちゃんとするものだ。
「これからも来るけど、洗わなくてもイイからさ、安いのが一番、押さえておいて欲しいな」
店としては洗って付加価値を幾らかでも上げたいし、洗わずに並べることはしない。

こんなにNPOの人達を身近に感じることはなかった。
何処か聖人君子のようで近寄りがたいと勝手に思っていたが、いたって普通の人なのだ。
直接助けたりはできないが、店の品々が彼らの手を経て少し世の中の役に立っているかも知れない。

金持ちの人が安く買って行くのもそれはそれでイイけど、貧しい人や弱者の人に役立っていることが俺は嬉しい。
俺だけが金儲けのためにやっていると思うと虚しい。
やりがいを少し感じさせてくれるNPOさん、俺も感謝申し上げます。