リサイクル親父の日記

第575話 公費に頼るな、と恰好イイお父さんは・・・

2012/07/21

青年が買取の相談に来る。
Tシャツにジャージーなラフな姿で、少し疲れた感じがする。
「・・あの・・・どんな物を買い取ってもらえますか?」

買取できるかどうかを聞くのではなく、対象品を聞いてくる場合は意外に多い。
「大抵は扱いますが、それよりも何があるか教えてもらった方が話が早いのですが・・」
どんな物があるかを聞いて判断するのがベターなのである。

「お婆さんが住んでた家なんですが、今度解体するんですよ、お爺さんとお婆さんが使ってた物が・・・」
一軒家でお爺さんは随分前に亡くなった、お婆さんは5年前に亡くなり、以来空き家だった。
大震災でダメージもあったので解体することにしたが、やっと仙台市から日程の連絡がきた。

「でも随分遅いですね、もっと早く解体できたでしょう?」
「えぇ・・親父が承知しなかったんで、申し込みが遅くなってしまって、やっと親父も納得してくれて」
古家の空き家、震災で壊れたりして、それでも解体を承知しないお父さんってどういうことだろうか。

「変わってるんですよ、市だから、公費だろうって、そんな金でやってもらうことが嫌だって・・・」
俺はそれを聞いて共鳴してしまう。
「ワォッ、お父さんは恰好イイよ、その考え方好きだな」大きな声を出してしまう。

「そうですか・・・おかしいですよ、金かかんない方がイイですよ」
そして近いうちに俺は見積に行くことにしたんだ。
震災後の義援、支援、各種補助に関して色々あったけど、お父さんの気持ちが清々しいと思う。

震災と直接無関係なことを震災に恰好つけて公費を使わせた輩もいた。
ピンチや危機になった時に人間性が暴かれる。
社会に出てからは、企業業績が落ちるとやはり各人の本当の人間性が浮ぶということを経験した。

危機が大きくなるほどまとまって対処したいと思うけど、現実はバラバラになってしまう。
今震災復興に邁進する宮城県だが、被災者はまとまるというより私利私欲や我欲、我田引水的な側面も表している。
誰かがラジオで言ってたが、多少無駄が多くても救済金を出して経済難民を出さないことが大切であり、早期に再起できるように支援すべきだと。

金が無いと身も心も荒むってば、少しでも余裕があれば清くも生きられよう。