リサイクル親父の日記

第584話 同じ水だろ、やってよ

2012/07/30

10年来の常連のお爺さんは現役で仕事をしてる。
平トラックで工具を積んでるから、建設や設備かいずれにしても現場工事だと思っていた。
時々来て工具売り場を見てて、スパナーなど2~3点を買うのが常。

常連といっても座り込んで話をするほどではなくて、レジで天気や世間話を軽く交わす程度。
年なのにお爺さんは元気で頑張ってるな、そんな思いを俺はずっと感じてる。
しかし具体的な仕事内容は聞かず、お爺さんもしないし、それで別に何ら問題はない。

1月前にオーストリッチの長財布を買ったが、買い方が面白くて記憶に残っている。
「お~ぃ、財布ないかい?立派な財布探してんのよ、今使ってのボロボロなっちまって・・・」
手にしてるのは確かにくたびれ果てた物だった。

数年間からあった新品オーストリッチ長財布をまさかという思いと、ひょっとしたらと思ってすすめた。
「おっ、イイな、もらうよ」ってアッサリ決めたが、風体と不釣り合いは否めない。
随分と買いっぷりが良くなったと感心したっけ。

お爺さんは今日も来た。
道具を2点レジに持ってきた、その後、レジ前に置いてあった長火鉢をしげしげと眺めて言う。
「うん、こりゃイイもんだね、でもなぁ、婆さんが怒るしな~~~」

1人で、「灰はあるし、鉄瓶も灰ならしもある、火鉢がな・・」
「奥さんによく相談してさ、怒られないように説明して、それまで取って置いててもイイんだよ」
俺は結果が出るまで保留してたりしてあげる。

「俺は今すっごく忙しくて、ホントは水道の方だけど、現場に行くと何から何まで頼まれるしさ・・・」
「水道工事屋さんだったんだ、それじゃ忙しいよね、でも仕事がいっぱいでイイでしょうに、みんなに感謝されるしさ」
俺の店に来てる工事関係者はみんながみんな大忙しから想像はできる。

「今年72になるけど・・身体がもたなくなりそうで・・・2人でやってるけど、でも儲かるし」
誠実なお爺さんは兎に角忙しそうなのだ。
「この間なんか、工事してたら隣の家の人から屋根のペンキ塗りまで頼まれちゃってさ・・・同じ水関係だろうって」

「へ―ェッ、やるね、おとうさん」と感嘆してしまう。
日本では水道屋は水道工事だけ、ペンキ屋は塗装だけ、木工屋は木工だけ、・・だけしかやらない。
「だけ」工事屋が細分化されてて多岐にわたり過ぎている。

もう少し幅広く工事の種類をやるべきだろう、多能工として熟練すべきだ。
或は、DIM(ドゥーイッツマイセルフ)。