リサイクル親父の日記

第589話 同業者の紹介だって、有難い限り

2012/08/04

仙台から30分ほど南下すると岩沼市、その街の真ん中の広くて立派な屋敷。
ここは古い区画整理だったようで道路幅の狭い所が非常に多い。
有名な竹駒神社は正月の参拝客で大変な賑わいで、数年前にお参りした時には駐車場確保にとっても時間がかかったけ。

シャッター付き車庫は広い、中に3台の新車ベンツが並んでいるから相当なものだと感じる。
長方形型敷地に長方形型の屋敷なのだが、元は古いがとても素晴らしくリフォームされてる。
どうして古家をリフォームしたかは一目で分かる、古家の造りが梁も柱も太くて素晴らしい木材を使ってあるのだ。

昔から財力のあったのは疑う余地はなく、リフォームもセンスが良くて、入りも屋の玄関も大きくてケヤキがふんだんに使われてる。
まるで高級古民家料亭とでも・・・そこに桐箱入りの品々や額入り絵画、掛軸、古色衝立にランプが集められている。

玄関戸が開くと、大きな毛並みのイイ犬2匹が外に飛び出して来て、その後を依頼人の奥さんがついてくる。
「ごめんなさい~~大丈夫だから・・まだお手伝いさんが来なくて、首輪持って来るからお待ちになってて・・・」
玄関戸を行ったり来たり犬は喜んで動いてる、時々俺の周りをグルグルしてるが・・・

犬・・・それだけはダメな俺は直立不動で早くこの状況から解放されたいと願っていた。
首輪を犬に付けて離れの庭に移動してもらって、俺はやっと復活できる。
「作家物の焼き物なの、窯まで行ってね買ったりして・・そっちは京都の骨董屋さんで・・・」

「それでは見させてもらって宜しいでですか・・」と俺は検品作業を始める。
壺に皿は未使用である、掛軸は新しい物、大きな段ボール箱には塗りの茶卓や取り皿、・・・
前に知合いの骨董屋さんから教わったように、掛軸は素早くシュルシュルと開いて閉じてしまう。

「どうして手放すんですか、家は広くて幾らでも飾れるんじゃありませんか」
これだけの屋敷だから飾ろうと思えば飾れる、しかし、大変シックにスッキリとした飾り付けはしてある。
「娘たちがあまり興味が無いの・・だから誰かに持ってもらった方がイイだろうと思いまして・・・」

検品の合間に彼女は麦茶を持ってきてくれるが、俺は価格交渉をどうしたものかと思案に暮れる。
・・・
「えぇ、それで構いませんわ、お願いしますわ」
余り安くも言えず、かといって高く買えもせず、損しない程度、儲けは少なくてもという値ごろ感で査定した。
「以前買っていただいたXXXXさんに電話したら、おたくを紹介されたの、とっても詳しいからって・・・」

その名前は同業者だったのだ。
大して同業者との付き合いもない俺に紹介してくれるなんて、俺はちゃんとした査定をして良かったと思えた。
そして領収書を書いてもらう段になって、彼女は隣の部屋に行く。

俺も続いて行くと、二間続きの和室が障子や襖が解放されていて、縁側から陽光が優しく射し込んでいる。
薄らほの暗い中に唐木の飾棚、立派な仏壇、重厚な応接セット、ガラス戸飾棚が目に入る。
そこかしこにこじんまり飾られている品々に俺は驚いた。

マイセン、柿右衛門、中世のガラス器、どれもが俺にとっての名品なのだ。
それにしても久しぶりにイイ物を見る機会を得た。
紹介してくれた同業者さんに感謝の気持ちでいっぱい。