リサイクル親父の日記

第592話 あぁっ!!!さっき見たやつ~

2012/08/07

出張買取では空振りもある。
電話で聞いた内容から想像をして、買取できそうだと判断の上に出張する。
しかし現物を前にした時に食い違いや嘘情報だったりする場合もあるのでしょうがないと諦める。

仙台市45号線沿い小田原のマンション、片側2車線の幹線道路だから早い時間に予定を組んだ。
日中よりも交通量は幾分少ないがそれなりに車は走っている。
バス停が直ぐ側で信号機の少し手前という駐車には難しい場所だから、幾らかでも車が少ないに越したことはない。

トラックを下りて台車を小脇に抱えてスタスタと建物に急ぐ。
幼児が迎えてくれる、その母親の彼女はお腹がもうすぐだと言わんばかりに張っている。
廊下とリビングを子供用ゲートで仕切ってあったので、俺は跨いで中に入る。

「これですけど・・」と彼女は壁際のオルガンとベージュのソファーを示す。
オルガンは一目で無理だと分かったが、ソファーは良品なのだったが・・・
背もたれに触れるとグラめくのだ、新しいものだし変だなと思い、底の足4本を緩んでないかと締め直す。

だいぶ良くなったが治まらない・・・出張して空振りは嫌、でも、でも販売するには問題だし・・・
「持って行ってもらえませんか・・でないと処分業者に出しますけど・・」
以前キャンパス生地の折り畳みイスを展開して置いてたら、デブ親父が乱暴に腰かけて転んだ。

折り畳みイスは固定椅子よりも不安定だから、少し気を利かせて腰を下ろすべきものだ。
移動販売のてきやデブ親父は不用意に半掛けしたから転ぶ、あろうことか店に責任があると喚きだしたのだ。
あの記憶が蘇り、ちょっとグラめく程度でもソファーだから諦めるしかない。

成果なく店に戻った。
開店作業を終えて一服してたら、時々持ち込む業者がワンボックスカーでやってくる。
「買取お願いしま~す」いつものように声をかけてくる。

レジから出た俺は彼の後を追って外に出る。
ハッチを大きく開けると荷台がガバッっと視界に入る。
俺はウン?と頭をひねった。

「綺麗なソファーですよ、あっちのオルガンもどうですか?」いつものように言っている。
「今朝、買取に行ったところで断ってきたのよ、グラめきが納まらなくて・・・」
それで・・俺らは顔を見合わせて笑いあったってば・・・