リサイクル親父の日記

第605話 ぺットとベット、どちっちも

2012/08/27

仙台市泉区住吉台は泉区の山奥の方に位置してるから、俺の店からはとっても遠いんだ。
ナビでは仙台市中心部を通って北環状線に出て、更にクネクネと山間の道路を示す。
俺の頭だと、4号バイパスを北上して泉中央を抜けたくなる、分かり易くて走り易いから。

今回は東北大学病院付近の最近開通した「北山トンネル」を抜けるのがベストだと思えた。
日曜日の朝で交通量は少ないから、それでも小1時間、30kmちょっとある。
「住吉台」と大きな看板は田圃の中の一本道沿いに建っている、それを横目に大きく蛇行して団地に上るのだ。 

綺麗に碁盤の目状に区画された2階建、しかし、植え込みが生え放題なのだ。
門扉を抜けて玄関に進む時に、俺はクモの巣に顔が引っ掛かってしまい、一瞬戸惑ったほど。
そっかぁ、家を売るんだろうなぁ、とか破産でもしちゃったのかと想像する。

玄関戸が開くと、居間から犬の鳴き声が大きく聞こえて、暫し吠え続けるから、俺は背中に汗が流れるの感じた。
その居間に入ると、大型犬が1mちょいのケージに押し込まれている。
「このダイニングとテレビ、それに・・・・」彼女は5~6点の家具類を示す。

室内犬が居ると、どうしても臭いがするし、そこら中に毛が落ちてる、それ以上にこの家は掃除が全くなされていない。
テレビの裏面全体に茶色い埃が積ってるし、床全面に渡って毛と綿埃が見える。
更に、ダイニングの木足が相当かじられている。

だから半数しか引取できない、次に2階の部屋に誘導される・・と、その目の前を少女が稲妻のように走り抜けたんだ。
2階の寝室に入ろうとしたら、今度はグレーの丸々した動物、それが素早く廊下に逃げだすのだ。
真夏の稲妻少女に灰色猫、なんじゃこれは・・・

ベットはマットレスに何カ所も汚れがあるし、婚礼3点セットは、どうやって2階に上げたのか不思議でしょうがない。
狭い階段は踊り場で180度屈曲なので、それは多分窓から入れたとしか思えないのだ。
最後に子供部屋に入る、ピンクの可愛らしいベッドなのだが、鉄枠は錆が浮いてる。

2階からはそれでもチェストや小型の棚など数点を引き取る。
「引越しで・・千葉に行きます」疲れが見える彼女が言う。
「それで、この家は売るんですか?」と聞いた。

「わたし・・バツイチで・・別れた主人が住むそうです」
性も根も尽き果てて脱力感だけに覆われてるかも知れない。