リサイクル親父の日記

第606話 やるな、ベラ女

2012/08/28

何でベラ女かっていえば、ベラベラ調子よく喋りまくるからさ。
男性であればベラ男とでも呼べばイイ、世の中にそんな連中は結構いるもんだ。
10年以上前からお客と言えば常連って言いたくもなるが、実際にはそうでもない。

赤いルージュも少し気色悪く派手で若づくりしてるが、実際には40歳を超えてるだろう。
初めの頃にキティグッズを買いまくっていた、キティラーって呼ぶにはキティが可哀そう。
1~2回目ころから、妙に馴れ馴れしく話しかけてきてた。

だから印象は大きくて、忘れたくても忘却はできない女。
数年後にひょっこり来たと思ったら、20代の男を連れてきてた。
ヒソヒソと俺が聞いてもいないのに、「彼なの・・ずっと年下だけど・・・」とのろける始末。

それから数年間に数回くらいしか来ないし、男と一緒にリサイクルショップ巡りのついでに俺の店にも顔を出す。
そして、買ったためしが無いのだが、いつもベラベラと自分の近況を喋りまくってる。
素性はと言えば、バツイチで居酒屋で働いている、どうも口八丁手八丁らしい。

数年前が最後だったが、又しても現れる。
小走りに近づくと、少し腰をかがめながら、人差し指を口に当てて、「別れたの、今日は別な人と・・・だから、前のこと聞かないでね・・・」、彼女から遅れて、年相応、40代中くらいの朴訥そうな男がついてきた。

暑いのにマスクをしたその男はムッツリしてる。
「今度ね、この人、アパートには居るの、色々準備するの・・ここでも安けりゃ買うって・・・だから」
その日はどうやらあちこちを下見してるらしい。

そして、今日は確かに買った。
しかし、それはベラベラ喋ってた内容から程遠い、話半分以下、三分の一程度だった。
あろうことかその男のことを勝手に聞かせる。

「・・大農家なのよ・・今度、米持ってきてあげるかしら・・・野菜も何でもあるよ、実家さ、金持ちで・・」
ベラ女さんは自分のことのように嬉しそうに自慢げに話すけど・・・
これだけ調子がイイのもどうかと思う。

それに比べて男は無言状態。
テレビ台を選んだ時、白色にピンクが混じってたっけ。
俺は、「キティみたいだし、あんたの好きそうなデザインだね」

すると男がニタ~と薄気味あるい笑顔をするのだった。