リサイクル親父の日記

第607話 やっと同じステージに・・・

2012/08/29

起業してからは金に追われっ放しだったと感じてる。
サラリーマンの時とは違って、オールオアナッシング、結果が全て直結してしまう。
儲けが出る稼ぎをしないと行き詰まりが生じてにっちもさっちもいかない。

少し儲けたとしても、出るのは簡単なもので、あっというまに底をついたものだ。
子供たちが幼い時分だったし、子供との遊びも部活のフォローもした記憶が無い。
でも俺が考える父親像は、働く後ろ姿を見せることだって風に考えて俺なりに納得してた。

子供から見れば、そんなもんじゃない、全然かまってもらってないと感じてたらしい。
齟齬は自覚してるが、いずれ分かる時がくる筈だと、その時に分かるかもと楽観してた。
子供には子供の世界があるし、俺には俺の世界もある、どちらもあって子供と大人の違いもある。

長男は東京で大学を卒業すると就職した。
サラリーマンを2年、そして昨年春に退社すると自営業に転じた。
腕一本、頭一つで稼ぐ世界だから、稼ぎも少なく超不安定。

お盆で帰省して旧友たちと飲んだりしてると家族でじっくりなんて、ありそうでない。
石巻から仙台まで車で送った時、本当に久しぶりにサシで話ができた。
俺は彼の交友関係や仕事に関することをボチボチ訊ねる。

30分もすると親子だから当たり前なのだが、本質や本音がチラホラ見えてくる。
彼の属する東京という社会も俺の社会も同じ、経済活動をする社会だから、お客さんや同業者に接する方法は変わる筈はない。
生きる苦しさも喜びも少し分かってきてるかな、それを社会人として自覚できつつあると思える。

「・・・お前ら小さい時なぁ、稼ぐので精一杯だったし、何度も失敗しててさ、破産しそうにもなってな・・」
ウン、ウンと頷いてたが、「そっかぁ~、大変だったねぇ」と分かったようなことを言う。
「お前はせっかくサラリーマン止めたんだから、今の仕事が限界だとしても、サラリーマンに戻るなよ」

「どうして?」訝る。
「自営業は凄くつらい面もあるけど、もっと大きな自由も達成感もあるよ」
サラリーマン時代の辛さ、嫌なことでも命令一つでやらなければならない不自由さと不条理さ。

年に1~2度しか合わないが、これからは同じ土俵で会話できそうだ。
自営業の先輩としてアドバイスもできるだろうから、相当距離は短くなった。
サラリーマンが安泰だとか大会社が安定してるとか、昔話でありおとぎ話になっている。