リサイクル親父の日記

第609話 気どり過ぎぃだよ

2012/08/31

「泉のアンティーク家具屋さんで7~8年前に買ったんですわ・・う~ん、結構したのよ
イギリスから直輸入したライティングディスク、普通のとはちょっと違うっていうか・・・
テーブルを出すタイプじゃなくて、上に、上に開いて、中に物を入れたりできるのよ・・

引出は両側に付いてるかしら、左側は3段で・・右は大きい扉になってるわね・・
その扉にわたしが頼んで金具を、右側板にも金具を特別に付けてもらったりしたわね・・
色々調べたけど・・・この辺じゃ、アンティークを買い取る所が見つからないのよ、おたくはできるのかしら?」

ここまで聞いて、俺はその店を知ってるし、まぁ物はそれなりに大丈夫かと察した。
それで、質問した。
「そうですか、買取はできますよ、ところで幾らで買いましたか?」

「だからねぇ、イギリスから持って来るって・・高かったのよ、10万円くらいだったわ・・
あのお店は何処かに移ったのかしら、今は別な店になってるし、どうしたのかしらねぇ・・
おたくはどこから来るのかしら・・太白区ですって、随分遠いわね、アンティークちゃんと分かるのかしら?」

あの店で10万円ってことは大した物ではないし、知らない人が見ればガラクタだったりするだろう。
「・・色んな家具を扱ってますし、アンティークもやってますよ、但し、買取は安いですけど・・・」
「まぁ、それはねぇ、おたくも商売でしょうから・・・半分くらいにはなるでしょう?」

俺はこりゃとっても無理だと思った、あの手は売っても精々1~2万円である。
「とても無理です、うちではそんな値段では買えませんから・・」と引き下がる。
「せっかくですから・・・仕方が無いわ、どこも買えないって言ってるし、分かったわ、いらして下さいな」

仙台の隣の市、小高い丘の傾斜に建つ古びて薄汚れた県営住宅1階で、そして、留守なのだ。
15分待ってから俺は帰途に就くと、それから20分走った時に店から電話がくる。
「ちょっと出かけてんですって、戻って欲しいって・・」、カッカきてたが、Uターンする。

そのライティングディスクは玄関に出されてた。
「どうですか、イイ物でしょう」悪びれもせず、留守にしてたことを謝りもせず喋り出した。
やおら引き出しを抜き出すと、前面以外は新しい材木で、それも日本材に修理されてた。

2段目、3段目も同様だ、前面の板は明らかに塗られていたし、見える部分だけ古材。
大半が日本で加工された状態だった。
「これでは・・ちょっと難しいですね」

すると顔を引きつらせる。
「エッ、エ~~、何とかしてくださいな・・幾らでもよろしいから・・・」