リサイクル親父の日記

第613話 たくましく成長したんだ

2012/09/05

珍しい人が数人もやってくるなんて、それぞれが別々で、久しぶりだった。
リサイクルショップをやってからの10年来の知り合いだが、数カ月ぶり、1年ぶりってな具合だ。
お客さんというよりも旧知の友のような気がする。

買い上げしてもらうよりもお茶する方がよほど楽しくて懐かしい。
途絶えてた時間を埋めようと俺は話を次々と繰り出してしまうのだ。
お茶も1杯じゃ足りずに2杯、3杯とはかどり、数人と会うと腹がガボガボになってしまう。

彼は奥さんと娘を連れていた。
あの頃は20歳ソコソコで、職業はフリーターでありバイトかけ持ち。
1年前に地震見舞いの感じで顔を出してくれたが、仲間もいて直ぐに帰ったから、話らしい話はしなかった。

今回は家族だけだし、俺の店も暇だし、じっくり話ができる。
「あの頃、色々手伝ってもらったよな、ありがとう・・今、何やってるの?」
「自営業です」とキッパリ、自信に満ちてて声に張りがある。

「そっかぁ、上手くいってるんだね、そりゃ良かった」
「地震で大変だったけど・・逆に頑張んなきゃって思って、必死に何でもやってましたよ」
「そうだよなぁ、みんな大変だったもんな・・・」

俺らはそれぞれの復旧取り組みを教え合って、互いに再建できたことを喜びあう。
「・・今やってることも順調だし、時間と余裕も出て来たので、又、何かをやりたくて・・」
あの頃、彼は兎に角稼ぐのに必死だったが、本当に余裕も自信も出ている。

「俺の方か・・・近くにライバル店が、大きな店ばかり増えてさ、今じゃうちが一番小さいかもな・・・
だから、年々厳しくなるよ、そして難しくなってるな・・・」
あの頃と攻守逆転の状況である。

「又、来ますから・・」
彼がたくましさもそうだけど、若さがちょっと羨ましい。
俺もあれぐらいの歳で独立したっけな、もう遠い昔だが、もうひと踏ん張りしよっかな。