リサイクル親父の日記

第617話 やっぱり楽しい骨董品検品

2012/09/09

骨董品が色々あって処分したいと言ってる。
しかし骨董と言ってもピンキリで、その人の解釈も曖昧模糊なのが大半である。
だから、その言葉だけで出張して失望したことが数知れない。

具体的に何があるのかと突っ込んで聞いてから、出張の可否を判断している。
「う~ん・・掛軸がいっぱいあるし・・セトモノが古いよ、たくさんあるし・・・置物もあるかな・・」
この程度でも分かれば、これはゴ―である。

仙台市中心部の一通で化粧品店を最近閉じたが、自宅兼用となってる。
僅かな敷地に車をギリギリに無理に止めてたら、ガラガラとシャッターが上がる。
「あらっ、もういらしてたの?待った?」とおばさんが声をかけてきた。

店内で待ってると、自宅から旦那さんが現れる。
「もう歳でさ・・店は閉めたよ・・・こっちへ来て・・2階から見てもらうから・・・」
築60年くらいの古家で階段は狭くて急勾配、6畳二間に縁側と床の間付き。

古~い足踏みミシン、小振りの曇りガラス戸本棚、火鉢が置いてある、次の間には掛軸がゴロゴロしてるし床の間にあれやこれやが乱雑に置いてある。
掛軸の箱は恐ろしいほど黒く変色してるが、それは古さであり、内心ちょっと期待する。

1本ずつ、一幅毎に展開して、シュルシュルと巻き戻していく、20本近い数だ。
大抵は汚れにシミ、破損があるが、まぁ仙台出身の日本画家の落款が1本見つかった。
続いて、真鍮製大黒様、螺鈿花台、それらを眺めて思うのだが、昔の金持ちだろうと・・・

「昔はここいら辺一帯の地主だったのよ、兄弟が多かったし・・色々分けてね、俺は末っ子でさ・・・」
末っ子で母親と同居してたそうで、母親が昔の物を大事にしてたそうだ。
「20年以上前に亡くなったけどさ・・・セトモノも箱に入って、1階の居間の引出にたくさんあるよ」

木箱が20個もあった、みな一様に新しい紐が掛けらているが、それらは明治頃の伊万里の皿に碗だった。
「他にもたくさんあったけどさ、わたし結構捨てたりして、邪魔だったから・・」とおばさんが追従した。
「金目の物は兄弟連中が持って行ったしな」

二人のその会話を聞きながら俺は検品に夢中。
皿一枚一枚を丁寧にチラシや新聞紙に包んで箱入れしてある。
査定に対しては一発了解ではなかったが、少し上乗せして快諾を得た。

「あんだぁ、いがったな、高ぐて」おばさんは喜ぶ。
「んだな」と旦那さんも頷く、何故かズーズー弁で本音の会話だ。