2012/09/23
要領を得ない電話だった。
要約すれば、いらなくなった家具を処分したいということ。
相手の説明がなってないので、俺とて分かる筈もない。
「アンティークって言えなくもないけど・・アメリカ製らしくって・・大っきくて重いっし・・・
家にあっても邪魔なんで・・・知合いに・・・兎に角、処分したくって・・・」
どんな種類か、用途はと聞くと、
「引出になってて・・・何段もあって、もう一つは引出が長いのよ・・そんなに入れる物もないし・・
大っきな鏡が乗ってて・・危なくって・・・運送屋が運んで・・・取り付けはしたけど・・ホント、邪魔で・・」
場所は同じ太白区内だから比較的近かったので、取り合えず出向くことにする。
俺はマンションに入って家具を前に納得できる。
俺らはしょっちゅう家具を扱うので表現はできるが、一般の人がこれを表現するには難しいかも知れない。
「う~ん、これは悪くはないけど良くもないですね、非常に売れ難いし」と感想を口にする。
「知合いからもらったんですよ、俺は反対したけど・・・どうしてももらってってなっちゃって・・・」
「そうですか、確かに扱いにくいし使いづらそうだし、小さい方は何とかなりそうですが」
「そんなこと言わないで両方持って行って下さいよ、邪魔なんで、助けて下さいよ」
むく材を前面と側板、天板に使っているし、金ぴか金具だから、見た目はイイ。
ところが裏板は合板でとってもチャチイときてる、それがガッカリしてしまう。
造りの雑だし、キズも相当ある。
90cm幅のチェストはそれでも商品になるが、130cm幅の方は至極難しいと思える。
俺は躊躇する、手間がかかる割に安くしか売れないだろうし、査定と言ってもあるかないかしか出せない。
「あの~値段は難しいですけど・・・」と小声でささやく。
「イヤ、値段なんか・・・持って行って欲しいだけですから」
そして搬出に取り掛かる。
これが重いのだ。
床や通路に傷つける訳にはいかないから、腰と腕に力を入れて真上に上げながら持つ。
部屋から通路に出す時も1回では曲がりきらないから、徐々に回すしかない。
腕がガッツリと筋肉が張れてくる。
ありがた迷惑な家具、それは俺にも言える。