2012/10/03
若い男性からの買取依頼で時間指定だった。
同じ仙台市太白区内ではあるが富沢という場所で、入り組んだ狭苦しい住宅地。
ちょっとトラックを止めるのが心配ではあったが、アパートが向かい合ってて駐車場も道路側なので何とかなりそう。
205号室は通路の一番奥、チャイムを押しても応答が無い。
しかし、ドアー脇のガラス窓から何かが動いてる風なので、じっと待っていた。
再度押したいが急かすようだから、更にじっと待ってた。
やっと・・ドアーが開いて、彼は無言で俺を招く。
玄関はチャイルドシートが半分占めてて、その脇にミネラルウオーターの大きなボトルが冷暖専用台に載っている。
そして流し台があるので、俺は半身で通らないとならない。
少しだけ広めの台所と一部屋、布団が2組万年床状態、そして窓際に犬のケージが置いてある。
部屋には洗濯物が2ヶ所にバラバラっと吊り下がってて、赤ん坊を抱いた若奥さんが犬に夢中になっている状況。
勿論、先の台所流しには汚れてる鍋や食器が積まれてる。
1~2年前のポットにジャー、コタツとダイニングセットの買取。
「・・合計でX千円ですね」と俺が言う。
気弱そうなナヨナヨしてる彼は1人では決められない。
「・・どうする?」奥の奥さんに向かって問い掛けるが、彼女は全く返事を返さない。
それよりもさっきからずっと犬を見てる、犬以外のことは考えられないって雰囲気。
彼は俺に、「どこも似たり寄ったりですよね」と査定金額の相場を知りたがる。
「他所の店は分からないですが、頑張って査定しましたよ」
すると、「イイよな・・・頼むよ」と彼女に念押しするのだ。
「・・・」と小声で答えるが、俺には聞きとりできない。
犬を見ながら、コクリと頷いたのは分かった。
それから俺は入口のチャイルドシートを移動して、買取品を運び出した。
ただただ、いち早く現場を出たかった。
赤ん坊を育て方、家族の生活の仕方、衛生管理など全てに注意したくなるのだ。
それは余計なことなのは十分承知している、だから早く離れないとならない。
彼女にはペットの犬も大切だろうが、赤ん坊を最優先しなければならないだろうに・・・