リサイクル親父の日記

第639話 ブランド新興宗教かよって・・・ 

2012/10/05

彼女はもう相当な年齢だよ、60代後半か70歳代だよ。
夫と息子と3人で来て、家具を数点買ったのが最初だった。
控え目で夫に従順そうに感じたが、帰り際にブランド陳列ショーケース前で立ち止まる。

「ちょ、ちょっと・・中のバッグと財布を見せて・・」
俺は直ぐにカギを開けて取り出して彼女に手渡すと、入念に点検してた。
「・・あっ、又、後で今度は1人で来るわ」と夫を遅ればせて追う。

数日後に1人で約束(?)通り来て、同じ品をショーケースから出させた。
彼女自身も同じブランドのバッグと小銭入れを持っているのだが、もっと欲しいらしい。
同形のショルダーバックと二つ折り財布を何度も隅から隅まで穴があくほど、俺が呆れ果てるまで調べている。

「やっぱり長持ちするしね、これももう10年以上経つわ・・・そろそろね・・」
端々が擦り切れて白くなっているし、本体も手垢で黒っぽく変色したブランド小銭入れを示す。
「藤崎で新品だと、高いでしょ、だからリサイクルで探すのよ、あっちこっちへ行くわよ」

若い人がブランド、ブランドって欲しがったり、喜ぶのは仕方ないかなと思う部分もある。
6~70歳代になってもブランドって騒ぐのを見ると、嘆かわしさだけが募る。
手垢で黒くなった物よりは、安くても汚れのない物を持った方がイイと思うのだ。

「このショルダーと財布、二つで幾らにしてくれる」
彼女は値切り交渉をしてくるが、「値段はちょっと・・無理ですね」とヤンワリ断る。
「ほら、ここ剥がれてるわよ、誰も買わないわよ・・わたしは値段次第で・・・」

財布の札入れの内面にポツリと白くなってる、ビニールがくっ付いて剥がれたらしい。
仕入れた時は気づかなかったが、1年もショーケースにあったから、暑さや湿気のせいでくっ付いたのか、それで剥がれたようだ。
「?・・本当ですね、それじゃ値引きしますよ」と俺は応じる。

A品扱いがC品くらいに格下げせざるを得ないが、彼女に売るのがベストでもあろう。
しかし彼女は驚くことを口にする、「今、お金持ってないから、来月初めに来るわ」
そして先日買いに来たのだが、更に驚くことを口にした。

「他の店も色々見て来たけど、もっと安い店もあったのよ、だから、もっとまけてちょうだい」
武士は喰わねど高楊枝、俺は、「そうですか、では、その店で買ってはいかがですか」
「でも・・こっちの方が状態がイイのよ~~」だって、結局買ったけど。