リサイクル親父の日記

第642話 絵は難しいですね、鑑定なんてできないし

2012/10/09

リサイクルショップとしては、商売になりそうであれば何でも取り扱うが・・・
家具や家電、日用品などであれば、需要も把握してるし店で売れる価格帯の予想ができるし。
売値が分かれば仕入れも分かるが、一般的でない品物、骨董品や絵画、工芸品となると凄く難しくなる。

骨董のセリやオークションに10年以上通っているので、そこそこ分かってはきている。
初めのころは何が何だか見当もつかずに、俺の気に入った品を買い揃えたものだ。
リスクの小さな小額品を手始めに、次に少し冒険して、だんだん俺も自信が出ている。

商売として振り返ると、セリで仕入れた骨董関係品は半分販売できたかどうかって感じだろう。
でも、実際に仕入れて販売して得た経験と知識は役には立っているし、今は大抵の骨董品を見ても仕入れはできそうだ。
俺が扱えるのが精々万単位であり、何百万円もする品の見方は素人と変わらない。

裏を返せば、俺の店の客さんにはそれで十分だし、それ以上のお客さんを知らない。
数千円から数万円程度の骨董品を分かれば、俺の商売としては成り立つ。
ところが先日、絵画を8点持ち込んだお客さんがいる。

どれもこれも額も絵も最高の状態であり、外箱はハードケースで欠点が全く無い。
リトグラフが5点、絵画が3点、ネットで調べると、かなりな高額品なのだ。
俺ってこんな時に舞い上がる癖がある。

儲けられるということではない、こんなにイイ物を手に入れることが嬉しくて仕方が無くなる。
自分が興奮するのが分かるし、もう1人の俺が冷静になれって囁く。
逃したくない物であれば、俺は感想を先に言う・・・それから・・・価格交渉・・・

お客さんとの駆け引きや交渉もあるが、説明しながら自分との葛藤をしてしまう。
「イイ物ですね・・素晴らしいですね、状態も申し分ない・・・買取したいですね・・・高かったでしょうねぇ・・・」
いつまでも査定金額を言えない。

「三越でね・・そうですか・・・でも、でもね・・・商売として・・・安くしか・・・」
グズグズしてる自分が分かるし、どうして査定金額を言えないのかと自分を疑う。
それに絵が本物かどうかって鑑定できないし・・・もし、偽物だったらと疑いもあるし・・・

だから、そんな時は、いつもお客さんに値段を聞いてみる。
「どれくらいをお考えですか・・それで判断したいのですが・・・」
価格が合えば仕入れるし、手が届かない場合はスッと引き下がることにしている。