リサイクル親父の日記

第646話 テレビ報道で気持悪くって・・・

2012/10/16

リピーターからの電話って戸惑うことが多い。
お客さんは例え一度でも買取をしてれば旧知の間柄のように思っているらしい。
買取に出すなんてことは、大抵の人には稀な経験である。

その時のことは記憶にハッキリと残ってるから、又何かを売りたいとなれば至極当然なのだが、知合い(?)の業者に声をかける。
唯一の知合い業者は、そんな事情でリピートされるのだろう。
昨年の夏に茶道具をまとめて買取した年寄り夫婦がいた。

旦那さんの伯母さんの遺品整理で、ご夫婦は趣味が違うので俺に買取させた。
その奥さんからの電話、「昨年ね・・茶道具を買ってもらったXXXよ、憶えてるわよね、今度はね、カタナを・・・」
一度聞いて思い出せるほど記憶慮は良くないが、数回言ってもらってると・・薄ら思い出せる、そして、完全復活できる。

「あの、カタナって、本物ですか・・」、一応カタナが「刀」かどうか念押しする。
店から近いお宅なので、俺はぶっ飛んでいった。
二人住まいのお宅なのだが、奥さん1人だった。

「秋にね、主人が入院したんだけど、2~3週間で亡くなってしまったの・・」と旦那さんの事情を説明する。
「ホラ、最近、東京でお爺さんが刀で女の人をさ、切り殺したって事件、そうしたら急に気持ち悪くなってね」
旦那さんが所持してた日本刀があったのを思い出して、心配が募ってしまった。

奥さんは興味も感心もありはしないが、家の中に日本刀があるってことが物騒で不安でたまらないってこと。
それで俺を思い出した訳だ、金額の多寡ではなくて、家から処分するために。
こげ茶色風呂敷を開くと、白鞘が出てくる、持ち上げて抜くと、錆ついた刃が現れる。

登録証は運転免許証より一回り大きくて、宮城県教育委員会となってる。
刃の長さと銘を調べると同一だった。
「他にも主人の物を処分したいんだけど・・・」

虎の根付け、サンゴの数珠、特大の筆・・・を俺の前に並べた。
刀は錆びてて販売は難しそうだが、根付けなど2~3点は欲しかった。
「値段は任せますから、刀が無くなればそれで安心、それに片付けたいのもっとあるし、準備できたら・・」

何方もこんなリピーターになってもらえたら、俺は嬉しくて楽しいのだろうなぁ。