リサイクル親父の日記

第650話 店には置けなくって、セリに・・・

2012/10/22

常連のお爺さんは1人暮らし。
ここ2~3年は身体も急に衰えているし、歩行も不自由になっている。
持病もあるが、中年離婚の1人暮らしだから、養生も悪い。

5~6年前に始めて店に来た時は、置物や骨董的な物を気に行って買ってくれた。
以前に通ってた骨董店よりは価格が安くて、リサイクル品もあるので、お爺さんには都合が良かったようだ。
昨年の震災の時、家は多少の被害ですんだが、買い集めた品々は相当数壊れた。

4LDKに1人暮らし、各部屋に慰めのように品々を飾ってたから、惨状は想像に難くない。
近所に住む友人たちが、壊れた品物を片付けてくれてはいた。
ある程度の片付けは終えてたが、以来、お爺さんは細かい仕分けを1年以上かけて行っていた。

先日店に来て言う、「2階からよ、降ろせないっし、色々処分したいんで・・来てくんないか・・」
普通は難しい話なのだが、事情が事情でもあり俺は出向くことにした。
2階3部屋からお爺さんがいらなくなったと言う品々を運び出した。

大きなケヤキ輪切り衝立、火縄銃や小判の装飾額、金色焼物布袋像、高さ1m50cm鳥かご、剥製、・・・・
半分以上は俺の店から、他は以前の骨董屋さんから買った物だろう。
尚且つ、良く見ると何処かにキズがある、中には割れたり壊れたり・・・

俺は懐かしさもないことはないが、見覚えのある品々に、これをどうしたいいものかと迷う。
お爺さんから片付け料を取る訳にもいかないし、店での販売もしたくない。
大型の物も数点あって保管するったって無意味であり、店の商品にはできないし。

だから、こんな時には骨董のセリで捌くしかない。
まだ暗い時分に起きてセリ場に向かう。
「成り行き」でセリにかけるのだが、早く着いたつもりが先客がわんさといた。

「成り行き」は安くても売りきっていくという意味、売りの先客がわんさかいるのは俺には具合が良くない。
俺の荷物はB品が多くて安くしか売れそうにもないし、或は、誰も買い手がつかないかも知れない。
それでも荷物はポン、ポンと売れたから、ある意味でホッとできた。

お爺さんの処分品は〆てX万円だったが、どうだろうか日当分に届いたかどうかだった。
セリにも出せない品々は産廃に出すのだが、プラマイゼロってことだろう。
揺り籠から墓まで・・・