リサイクル親父の日記

第656話 絵画詐欺商法って知ってますか・・・

2012/10/29

絵画への投資、投機をしてる話は耳にしたことがある。
ある会社でバブルの頃に節税と資産目的で購入したそうだ。
震災で利益が思う以上に出たので、絵画を償却しようと査定してもらってショックを受けたそうだ。

10分の一なってももんじゃなくて、100分の一以下がほとんどなんだって。
俺には動機が不純まで行かなくても、あんまりよろしくないと思う。
自分の好きなものを手にして、自分のために、自己満足の世界で楽しめばいい筈なのにって思う。

節税や資産として考えるならば、他に幾らでもあるし、そっちを研究すべきじゃないだろうか。
リサイクルも骨董も似てるが、セリで出品される絵画なんて何ぼにもならない。
10年前だったかな、30代の女性が「200万円のローンを組んで買った絵を買取してください」って持って来たことがある。

商業画家があっという間に描いたもの、一見すると豪華に見えるだけのもの、調べても名もない、すっごく怪しい販売会社だった。
彼女から聞くと、恋人商法的な販売を受けて、集団で契約を迫られやむを得ずサインしたそうだ。

宮城県丸森町は福島より、「・・丸森だけど、見に来てもらえる、親父が買い集めた絵画と掛軸だよ、2~30点はある」と中年男性の野太い声。
「総額1000万円以上は使ってたし、どれもちゃんとしてるし状態もイイから」

しかし彼はそれらの価値には関心がなくて、処分をしたがっていると感じた。
三陸自動車道は「山元」まで延びてる、インターを降りて6号線を跨ぎ山道をクネクネと暫く走った。
50代のご夫婦は待ち構えてる、居間に品々をべた置きにしてる。

「亡くなったが親父は郵便局に勤めてて、定年近くに美術品の凝りだしてさ、仙台の画廊から買ってたんだ・・・
あんまり買うなって注意した時に「車も待たないんだから、うるさく言うな」って、のめり込んでたんだよ・・・」
俺は正座して1幅を手にとって、「見させてもらいます」と宣言する。

1幅、2幅・・どれもこれも紙箱、木製二重箱の仕上がりが同じで不自然、それ以上に掛軸の軸頭(下部の棒の先)がプラスチック製なのである。
俺はもう掛軸を開くを止めて、箱のラベルを見るだけにした。

次に厚紙の箱中から絵画を取り出すと、額だけが立派で絵は俺にも分かる複製。
他の外箱を調べてると画廊の名前が記されている、悪名高い「XXX画廊」だった。
俺の気持ちは完全に沈んでしまい、この事実をどう伝えようかと春秋してた。

奥さんは一枚の紙を手に、「これ買った値段ですが、分かるだけでも1500万円になるのよ」
お爺さんが生前に書き残した目録、その隅に30とか50、100や200とも読めるのだ。
「・・・査定金額は・・・言い難いので、言わずに帰らせてもらいます」、急いで店に戻ることにした。