2012/11/01
電話にも色々かけ方や聞き方がある。
話をするほどに人柄もそれなりに知ることができるし、俺も是非買取してみたいと思うこともある。
仕入れという面もあるが、その人が持ってる物がどんな物かと興味が湧くのだ。
人柄がイイから良品とは限らないが、話に嘘が無いので、現場に行っても期待が裏切られることが少ない。
説明が苦手とか話下手な人や乱暴な場合には、落差が大きいので失望することがある。
しかし、その場合であっても真逆的に素晴らしい良品に出会うこともあり、遭って(開けて)ビックリ玉手箱。
商売だから儲けたいのであり、ギャップの大きさが利益に反映する。
でも日常的に買取をしてるから、時には利益以上にギャップに喜びを感じている。
長く続けてるとマンネリと不感症に陥る。
だから時々のギャップ惹起は驚いたり楽しかったりするから面白い。
年配の男性からの電話だった。
落ち着いてて話し方の謙虚で誠実そうに思えた。
「おたくで仏像とかは買取してますか・・・」
俺は少々ビビった。
相当な骨董品の買取だろうか、俺の手に負えるだろうかってね。
「それとね、絵画は大丈夫でしょうか・・・歳だし、処分しようかと思ってね・・・」
これはいよいよ査定が難しいし、買取はしたいが成約できるかどうか心配になった。
「40年前に神奈川県に居た頃、画廊で買ったもので・・給料が2万5千円の時に、1万5千円で買いましたよ・・・」
「・・作家は分かりますか、それに状態はどうでしょうか」俺は質問する。
「仏像は木彫りですが、20cmくらいで、作家はないかな・・・絵はXXXXですよ、御存じですか?週刊誌の表紙を長年やってましたけど・・・」
それはそれでと思って、伺う日程と住所を聞いた。
仙台も狭くはない、車で小1時間かかる場所だ。
次に聞いた作家名をネットで検索する。
確かに実存してたし、しかるべき作家ではある。
ネットショッピングとオークションで実勢価格を調べる。
思った以上の低価格、それにオークションでは更に安いにもかかわらず入札が1件もない。
結果、俺はお断りの電話をした。