リサイクル親父の日記

第663話 少年だった頃を・・・ 

2012/11/08

船の操縦室を船橋って呼ぶ。
今俺は船橋に立ってる、船は岸壁に係船され両隣にも船がある。
船橋には船窓がぎっしり開けられてるから湾内が一望できて素晴らしい。

同級生が船長をしてる船に案内してもらった。
検査のために造船所で修理中でもう少しで完工する。
船内はペンキの匂いがプンプンしてて、俺も船乗りだった頃や造船所勤務時代を思い出す。

俺が船乗りだった頃とは基本は変わってないが、航海計器類の様変わりと進歩には感動した。
船位測定や安全システム、操船技術に関して隔世の感がある。
機関室には高性能造水器が備わってて、誰もがいつでも真水が使い放題だそうだ。

俺は船乗りだった時は真水は大変貴重で、風呂は海水だったからね。
船橋には舵輪やレーダー、コンパス、テレグラフくらいしかなかったが、この船には所狭しとありとあらゆる計器が見受けられる。
そうなんだよな、船のここ船橋が俺の仕事場だったんだよ。

中学生の時に将来船乗りになりたいと思った。
北陸の船乗りの学校に進んで、船乗りになった。
練習船に1年、就職して海上勤務4年、合計5年ほどの洋上生活だった。

あれから数十年も経ったんだ。
造船所を止めてから独立して20数年です、船にかかわることもなかった。
船の中ですれちがう船員さんたちや造船所の工員さんたち、構内の機械も何もかもが懐かしい。

時間も場所も全く違うが、ここが俺の原点だと確信できる。
全寮制だった学生生活も思い出もフツフツと思い起こされる。
イイことも悪いことも思い出は巡る。

時空を超えて俺は少年に戻ってた。
田舎育ちだから紅顔可憐(?)で何にも分かんなかった頃。
「海は常に真剣」と校長の言葉も思い出してしまった。