リサイクル親父の日記

第666話 本当に憶えてないらしくて・・・ 

2012/11/11

「リースのパソコン以外の全部ですね、机、イス、テーブル、ロッカー、パーテーションなど・・」
俺はメモを取りながら、尚、確認の質問をする。
「冷蔵庫や電気ポットなどもですか?」

「そうですよ、兎に角、全部引き取って欲しいの、できますか?」
「このテーブルは大きくてエレベーターに入りますかね?」
「あっ、それは二つに分解できるから・・」

どれもが新品に見間違うほどの良品で、どうして処分するのか疑問が出る。
「いつ頃、買った物ですかね?」
「1年も経ってないよ」

こんな会話は半年前にも、この部屋でこの男性と交わした。
俺は買取見積依頼電話を受けて社名と住所を聞いた時に気づいていた。
しかし、実際に現場に出向いて、初めて行うように買取品内容を聞いて質問を手順通りにしただけ。

2回の見積現場での情報を整理すると、
1年前に起業したが半年くらいで廃業を考えたが、なんとか先延ばししてきた。
そして今回、遂に廃業を決めた(らしい・・)

青葉区一番町のビルの一室は家賃だけでも高額だろうし、新品で揃えた事務機も高額だったろう。
業種は音楽関係、俺には仕事内容は想像もできないが、難しそうだとは思える。
雇われの事務の初老の男は、前回も今回も同様に覇気が全く感じられない。

この人は本当に記憶してないんだろうか、と感じつつ俺は会話してた。
通り一編に見積依頼作業をこなしただけで、どこの店に頼んだかなんてすっかり忘却してる。
だから今回もきっと手順を同じに進めて、結果的に俺の店にも連絡をした(のかも知れない)

見積した後に、「社長に連絡してから、結果を連絡します」と言ってた。
それは待てど暮らせどなくて、俺の記憶からは消去されてた。
あれから半年経って、同じ依頼ってことだ。

同じことを再度やる感じが、何かを演じてる、そう役者にでもなった気がしないでもなかった。
しかし、彼は遂に記憶を思い出せないようだった。
「社長と相談して、結果を・・・」、オールドメッセンジャーボーイ(?)が言った。