リサイクル親父の日記

第667話 丘の工業地帯

2012/11/12

会社関係だと電話をするのが事務員だったりする。
組織が大きいから、それが下っ端に命令されるのだろう。
電話をするだけの命令を受けているので、内容は把握してないから、その事務員との会話が楽しい。

「株式会社XXXXですが、泉区なんですが、見積に来て欲しいんですが・・」と早口で聞いてる。
「えぇ、見積には行きますよ、どんな物があるんでしょうか?」とカウンターする。
「家具のような物が・・食器棚のような・・・書類を入れる物とか・・」要領を得ない説明。

最初に社命を言ってたが、俺には聞き覚えがないし、どこのどんな会社かも分からない。
事務所の不用品だろうか、事務機にしてはおかしいし、一般家具でも違和感がある。
こんな時は質問を替えて、その答えから想像するべきだ。

「どれくらい前に買った物ですか、どれくらいの期間使いましたか?」
「・・・う~ん、それなりに使ってると思いますが・・・正確には・・・」
「それでは、全部で何点くらいありますか?」

「6~7点ですかね~~明日とかに来てもらえませんか・・そうしていただけると・・」
見積の段取りをつけなければと思ってて、命令の遂行がいの一番らしい。
「そうですか、明日行くようにします」

「住所が泉区XXXX3の1ん024で、・・・・、担当が総務部のXXXです」
「あなたがXXXさんですか?」
「いえ、上司になりますので、そちらが担当です」とホッとした感じで説明を終えるのだ。

泉区の外れの丘の工業地帯は大きな道路に広い区画が整備なされてる。
生活道路を頻繁に走るが、この一帯は初めて来たし、あるのは知ってたが来て見るのは初めて。
工業地帯ではあっても、ある種の観光気分だった。

住宅街や雑踏の市街が圧倒的に多い出張買取、本当に気分転換であり珍しさもある。
ガラス張りの大きな玄関を入って、カウンター上のインターホンで依頼者に連絡する。
大きな曇りガラス扉が開いて依頼者が現れるまで暫しポツネンと待つ。

そして、3階の倉庫に案内される。
使用しなくなった事務機が詰められてる中、依頼者が対象品を示す。
1~2点は比較的新し目、それ以外はとっても古い事務機なのだった。

多分、彼女は物を見ないで、或は、おぼろげな記憶で話をしてたんだろうと思えた。
全てがスチール製事務機、本棚が茶色いカッティングシート張り、これを木製と思いこんでいたのだ。
事務機類が不足してる店だから、俺は買取をすることにした。