リサイクル親父の日記

第679話 善良な一家ですよ

2012/12/25

宮城県の仙台と石巻でリサイクルショップを15年以上やってます。
出張買取の出来事、店舗販売の状況などで何かしら面白いと思うことがあります。
俺なりに切り取って、皆さんに伝えたいとブログを書いてます。

引越しなので事前見積りをしてた。
白の中型レンジボードで大変良好な状態。
大型過ぎると売れ難いが、中型だと人気商品なので俺も頑張って査定した。

ご夫婦の反応は二人とも同じように表情を変えた。
「エッ、それしかならないの・・・」、「それでは・・ちょっと考えますから・・」
買った値段だけを考えると、俺の査定は低すぎると思えるのだろう。

しかし6~7年間使用したことで、実は十分に役目を果たしたとも考えられる。
丁寧に使っていたのは分かるが、中古品としての販売を考えると仕方がない。
善良な人たちと交渉する時、金額の齟齬ってのが苦手である。

お互いに悪意は全くないからギャップが出ると、さっきまでの和気藹藹とした雰囲気が一瞬で白ける。
俺も買い叩こうとしてる訳ではなくて、むしろ買取したいと思っての査定なので、その齟齬が歯痒い。
「・・ハイ、分かりました・・それではご検討ください・・」と潔く素直に引き下がることにしてる。

リサイクル品の宿命は掃除に相当の手間がかかることであり、それに瑕疵があったりすることだ。
査定時にその辺も考慮もあり、はやり易くしか買取はできない。
同程度同額査定でも、お客さんによっては大変喜んでくれる場合もある。 

ケースバイケース、三者三様、十人十色、要するにマッチングやタイミング、運不運を感じてる。
数日過ぎても返事が来なかったので、俺は残念だが諦めざるを得ない。
更に・・1週間も経った頃、「その条件でイイから買取して欲しい」と連絡がきた。

買取当日、マンションの各部屋には段ボール箱が積み上がってて、今すぐにでも引越しできそうな具合。
「もう直ぐ引越し業者が来ます、中の物は出しておきました・・これでイイですか・・」
レンジボードは空になってて掃除が行き届いてる。

俺らは上下の止めボルトを緩めて運び出す。
キッチンから廊下に出る時や玄関に向かう時に段ボールが邪魔になる。
彼らは積極的にそれらを移動してくれて、「大丈夫ですか・・」と声をかけてくれる。

引越し先に食器棚は備わっている。
だから不要なり見積をとったが思う査定もなくて、どうやら俺の店が高かったそうだ。
そして本来の善良な一家に戻っていたのだ。