リサイクル親父の日記

第691話 モデルルーム展示品の・・展示品の・・・

2013/01/17

「昨日、おたくの店で見た食器棚とダイニングセットを気に入ったので・・・今度の土曜日に主人を・・・」
こんな場合はお客さんの為に商談中にしておくことがある。
「家は福島なんで・・いろいろ見て歩いてるけど、おたくのが一番良くて・・・」

褒め言葉に気分は悪くはないし、店では高額品でもあり簡単には売れないし、保留条件は揃っている。
「えぇ、商談中ってことにしておきますから・・」
食器棚は定年退職して東京から引越しした人から買取したばかりで大変良品だ。

ダイニングセットはモデルルームに展示されてた物だから新品同様である。
買取現場で展示品を俺に売り払う若夫婦と子供は、その家を購入して移り住んだ。
しかし以前から使ってたガラス製のテーブルと椅子のセットを使うらしい。

どう見ても、その家には売ろうとしてる木製のダイニングセットが合っている。
何故なら、家の内装でも分かる、ウッディーな造りだから無垢材が絶対的に似合うのだ。
それは俺の感覚であり、彼らには何かしら思い出のガラスダイニングセットなのかもしれない。

そして土曜日夕方に彼女は夫を連れてやってきた。
二人は何度も家具の前で熟慮してるし、特にダイニングセットの方は長考である。
「あの、どちらも買いたいんですが・・・・ただ、今あるダイニングセットがいらなくなるので・・・」

それはよくあることだ、前の物が不要になるから、それの引き取りや買取を同時に頼まれる場合がある。
「それはそれで検品して査定しますよ、値段は現物を見た上で・・・」
普通はそんな流れで進むから、後日現物を見てからでまとまるのだが・・・

「幾らになるか知りたいんですよ、あんまり予算が無いし、それに未使用何ですよ、展示してただけ・・・」
彼女が言ってる意味が初めは分からなかったから、
「未使用、展示品??それを使えばいいんじゃないですか?」と疑問を口にした。

「今度、やっとの思いで家を買ったんですが、その中に展示されてて・・・でも、わたしはこっちの方が気に入ってて・・」
面白いことは面白いが、実に不思議なことである。
展示品だったダイニングセットを買うお客さんが、自分の展示品のダイニングセットを下取りさせるってことですね。