リサイクル親父の日記

第696 あの節はありがとうござい・・・ 

2013/04/08

宮城県仙台市と石巻市でリサイクルショップをやってます。
買取現場やお店では何かしら面白いことがあって、その出来事をアップしたいと思います。
1週間以上も間が開くとブログを書く気力もかなり薄れてしまいます。

同時に話題もないことはないのだが、気分が乗りきれない感じがして書けないという現象。
だから、ホントに強く感じることを待ってたのだが、遂にその時が来た。
彼からの電話は、いつも「今日の今日」の出張買取を要望するんだ。

「憶えてますか・・・八木山の佐藤ですが・・・2年ちょっと前にキリンビアマグカップや蓄音機を・・・」
それは忘れる訳のない物凄く感謝してる買取だったし、1年前の時も含めてありありと記憶が蘇る。
「・・アパートを引越すんですよ・・寮の様な所にね・・家具とか要らないから・・・小物もありますよ」

俺は家具よりも小物に魅力を感じてる。
2年前の蓄音機も陶磁器も絵画も完売してる。
それに大震災前の買取であり、震災後に実はネット販売せざるを得ず、それが予想以上に売れ行きが良くて救われたのだ。

休業してた1月の間でもネットでは売れてたので収入があって、本当に助かったし嬉しいことだったのだ。
1年前に彼から電話があって向かった先が今回のアパート、先の家は売却してた。
「そう言えば、奥さんは・・」

「あの時にはもう別れてましたよ」
やはり思った通りであった。
立派な家に彼と奥さんの2人暮らしの感じ、最近、彼の父親が他界した跡とも分かる品々。

その品々の買取だったのだが、大変な良品が多数あったのだ。
そして、奥さんと分かれてアパートに引越してたが、今回は山奥の温泉町の寮に行くそうだ。
家具数点と小物数点の買取だが、店にとってはありがたい。

「ところで、最初の家にあった切り子やクリスタル、ガラスのカップなどはどうしたんですか?あれば買いたいのですがね」
「あれは、世話になった人にあげたりしてますよ、まだ残ってるが、邪魔にならないし」
少し残念だが素直に諦めた。

「今日は一番に大事にしてた物を譲ってもらいありがとうございました、2年前も助かったんですが、今回もあ助かります」
「そう言ってもらえると僕も嬉しいです」
想像だが、一般的に外形的に2年前の彼と今の姿では大変な落ち込み方である。

立派な家を失い、家財道具も処分して、離婚もして・・・古びた軽トラで山奥に・・・
でも、不思議なのだが、彼には悲壮感は全くなくて、むしろ今後に対する希望を持ってるのだった。
人生の価値なんて人それぞれだよね、心の問題だから、俺にかれを分かるなんてことはないのが当たり前。