リサイクル親父の日記

第686話 根っからの営業マン(!?)

2013/09/26

宮城県仙台市と石巻市でリサイクルショップをやってます。
買取現場やお店では何かしら面白いことがあって、その出来事をアップしたいと思います。
おばちゃんは気さくで朗らかでスポーツもバッチリで、それに金にはシビアって感じ。

もう7~8年経つだろうか、新車の真っ白いBMWで乗りつけてきた。
俺の店にはどう考えても似合わない、相応しくないお客さんってことだ。
高級革バックを無造作に提げて、柔らかい風合いのツーピースで颯爽と闊歩。

やがて、レジに来ると、「あれとこれと・・4点買うけど、幾らにしてくれる?」
やっぱりかぁ、と俺は成り金のいやらしさと強引さを知るが、無理しては売りたくもない。
「そうですか、でも、どれも値引きできないですよ」そんな強気(?)の宣言をした。

「リサイクルって、どこでもサービスしてくれるけどね、何ぼでもイイから、引いてちょうだいよ」
でも俺は横柄な人が大っ嫌いだから、「無理、無理」とぞんざいに答えたの・・・
「そっ、分かったは、それでイイから、買うわよ」とアッサリと了解するのだった。

それ以来、彼女はちょくちょく来てる、旦那さんを連れて、彼はダークグレーのBMWだし。
「車はさ、BMWが好きなの、でもね、他の物は新品じゃなくてもイイのよ、イイ物を安く買った方がさ」
二人はそれぞれ自営業として稼いでいて、好きな物を好きに各々の判断で決済してる。

彼女は営業をしてるので、売り込みなどセールストークに優れてる。
思ってることを全部吐き出して相手を口説くタイプのようで、値引き要求も激しい・・・
しかし値引き交渉が無理だと悟るとアッサリと引き下がり、真逆に素直になってしまう。

そんな憎めない性格なので、俺は最初は腹が立ったが、以後は鷹揚に付き合えてる。
その彼女が昨日来たら、知合いが来店してきた。
「あら~~、XXXさん、どうしてここに・・・この店はイイ物あるわよ、買った方がイイわよ・・」

自分の知り合いに本当に一生懸命に店を褒めてくれるし、品物を丁寧に説明してるのだ。
「この家具はイイよね、わたしも気に入ったのよ、XXXさん、絶対買い得だよ・・・」
そんなセールストークは俺はやらないし、お客さんに誤解されたくはないのでいつも控えているだけだ。

愛想がないとか、売る気がないとか、それはそれで曲解されるが、押し売りすると思われるよりはイイのかな。
稀に知らないお客さん同士で商品について話し合ったり品定めしてる場合があるが、彼女は完全な営業なのである。
悪い気はしないが、そのトークに嘘があっても拙いからね。

そうこうしてるのジッと眺めてたら、彼女は俺に声をかけてくる。
「これ、決めたそうよ」
「ありがとうございます」俺は低調にでもないが礼を言った。