リサイクル親父の日記

第707話 それじゃぁ、取りにまいります

2013/10/29

「わたくし・・宮城野区の佐藤XX子と申します。9月2日に棚を買った・・・」
そのお婆さんの声に俺はどう対処したらイイか迷った。
「実は・・お宅様から・・木製の棚のようなお品を・・・いただいたのですが・・・」

益々お婆さんへの対処を・・っと思ってたら、ひょいと思いだした。
「そうでしたね、随分時間が経ちましたが・・・」と口にした。
「やっぱりね・・取りに行くよりも・・・そうですわね、お宅様に届けてもらえないかと思いまして・・」

「配達はしてますよ、但し有料になります、あの辺でしたら1千5百円ですね、それでよろしければ」
配達料を説明すると、お婆さんは怯んでしまう。
「・・そうですか・・それじゃぁ~やはりぃ~~~娘に車を出してもらいまして・・・取りにまいりますわ」

俺はお婆さんが上品で言葉使いも丁寧なので、どうしても合わせながら話すようになってる。
「それは結構ですが、そろそろ11月になります、2ヶ月が経ってしまいますので、お早めにお願いしたいのですが」
あ~ぁ、販売した時に感じた違和感は悪い方に当たっている。

その日、お婆さんはタクシーで乗り付けてきた。
多分初めて店に来たのだと思うが、「すいませ~ん・・ちょっと、このお品をいただきたいの」
家具売り場からかかすれた細い声で呼ぶ、俺はすっ飛んで行った。

それは棚と呼ぶよりは下駄箱なのだった。
「下駄箱ですが、棚が数段あるので高さ調整をすることもできますよ」
「そうよね・・・えぇ、これでよろしいわ、後日、娘と取りに来ますから・・」

代金精算をしてお婆さんは外に出たが、その時タクシーなのだと気づいた。
あの言い方でわ・・・
数日後くらいには来るんじゃないかと思っちゃう。

ところが、1週間過ぎても・・・数週間経っても・・・1月が軽~~く・・・
本来取置き期間は1~2週間までと伝えてるし、それを経過すれば電話連絡をするのだが・・・
ひょっとして認知症だったりして、電話に家族が出て、それでトラブルを惹起してしまうとかを考えてしまった。

そんなことを考えるのであれば、黙して待つしかないだろうと腹を決めた。
そして前段の電話なのだ。
だから直ぐにとりに来てくれるのを願うのだが、叶わないかも知らないと思わざるを得ない。