リサイクル親父の日記

第730話 ワイルドになれれば・・・

2013/12/14

仙台駅近くの高層マンション、どんな金持ちが住んでるかといつも気なる。
過去に2回買取のために出向いたが、コンシェルジェの女性がいるし、管理人も複数駐在してる。
ガラス張りでエントランスも通路も凄く広い、超綺麗に清掃されてるし、一流ホテルのロビーって感じだ。

トラックを止めれる広いスペースに入れた。
広い大きな敷地を急いで管理人に向かい、用件を伝えて了解を得る。
それを怠ると大変なクレームやトラブルになる可能性があり、住民や管理人から顰蹙をかう。

2重ロックというかエレベーターに乗る際にも住人にインターホンで知らせてガラス戸を開けてもらわないとならない。
だが、エレベーターも荷物用があるから、その点は仕事がやり易くて俺には嬉しい。
その室内はガラ~ンとした感じが強い、片付けが進んでるし、残ってる家具も少ない、同時に段ボール箱も積み上がってる。

「売る物が・・変わってしまったんですが、よろしでしょうか? いろいろあって、これらを売ろうと・・・」
マンション自体も新しくて、当時入居して買い揃えた家具は申し分がないから、断る理由はない。
「えぇ~構いませんが・・・どれですか?」と俺は未練を出さずに問うた。

「キッチンカウンター・・それにチェストと・・このテーブル2つ、このベビーベットとベビー椅子も・・・どうですか?・・それに、蓄熱ヒーターもありますが・・・」
以前電話で言った物は全て無くなり、今回初めて聞いた物ばかりだが状態は最高に近い。

買取はまとまって、支払いを済ませて、運び出し作業になる。
彼は彼なりに積極的に手伝ったりするが、どうも要領が悪くて、俺らはもどかしさも感じる。
「・・実は事情があって・・離婚したんですよ」としんみりと話しだす。

現場を見れば一目でわかる、それほど離婚を想起させる条件が揃い過ぎてた。
「直ぐ、分かってましたけど・・」俺は素っ気なくつれなく返事しておいた。
こんな時に下手な同情は虚し過ぎるし、慰めにもならない、それは俺が人生で感じてる哲学でもある。

折りたみテーブルになった時、足と天板の付根金具に棒が出てるから、それを押すと足を曲げれる。
俺は普通にパタ、パタと折ってしまう。
同形テーブルが二つあったから、彼は俺を見て大変ビックリしてる、「へぇ~~畳めるんですね」

そして彼も畳みながら、とっても感激してるのだった。
エレベーターにも玄関にも彼はついてきてくれた。
帰りのトラックで彼について考察すると、

身なりもちゃんとしてるし、立派なマンションにちゃんとした家具と什器を揃えてるし、言葉遣いも大変よろしい。
会話も成り立つし、素直で従順気味で、物分かりや物覚えもイイし・・・
例えば、外で仕事で会えば、物凄く仕事のできる好青年に思えそうだよ。

しかし・・しかし・・どうして折りテーブルが分かってないの、そこが不思議でならなかった。
奥さんがひょっとしたら、彼に物足りなさを感じたとか・・・マザコンに嫌気がさしたとか・・・
男はもっとワイルドがイイかも???