リサイクル親父の日記

第765話 非対称性の母娘さんたち

2014/02/18

長くリサイクルショップをやってるから時には似たこともある。
それが同じ日に起きたり、或は、似て非なることだったりするから尚更面白い。
十人十色というけれど、本当に人それぞれってことを実感してる。

メールでの買取予約があって、直接電話して時間を決めてた。
そこに仙台市青葉区木町通の晩翠通りマンションからの依頼があった。
これ幸いと2件を一度の出張で済ますように組み入れた。

雪がまだ残ってて側道などは走り難いが、幹線は問題がない。
でも、時間は多くかかった。
街中のマンションは駐車できないのが多い、晩翠通り沿いであれば無理に決まっている。

随分手前の有料駐車場に入れて、歩道の雪をグショグショと踏みながら進んだ。
エレベーターが開いたら、男女2人が出て来た。
微かに見た覚えがあったのだが、その時は思い出せない。

1人エレベーターに乗ってる間、ふっと思い出した。
彼らは同業者でした、セリで見かけてた人だった・・・曖昧な記憶と会うのが暫くぶりだったから。
忙しそうだったな、なんて隣の芝生が青く見える気がした。

1Kに引越してきたが、ガスコンロが備え付けされてたし、照明も付いてた。
娘さんを母親が手伝ってて、2人で梱包を開けて並べたりしてる。
「折角持ってきたのに残念なの、だから捨てるのももったいないし、買取ありがとうございます」

俺はガステーブルの上に段ボール箱に入れた照明器具を手に持つと、両手がふさがってしまう。。
「大丈夫ですか?」と母親が心配してくれた。
すると娘さんが、「わたしが先に出ますから・・」と言った。

そして、外側から娘さんがドアーを開けてくれた、ここまではよくあること・・が、しかし・・・
何と娘さんはエレベーターまで付いて来てくれて、開けてくれた。
そして一緒に乗って降りようとした、だから、俺・・・「もうたくさんですよ、助かりました、ありがとうございます」

謝辞を言ったら、更に、彼女は、「こちらこそ、ほんとうにありがとうございます」って、これは感動しました。
物も良品だけど、こんな対応は滅多になくて、相身互いを分かってもらえて、だから感激ものです。
上下2段に段ボール箱を重ねた状態は重いのだが、気分的には軽かった。

2件目に向かったが、狭い道路で1台しか通れないから、ここでも離れた場所に路駐した。
角を曲がって2軒目、すると門扉の中から中型犬が鳴き叫ぶので、俺の心臓が縮みあがった。
玄関を入ると、上り框に数点が置いてあった。

「新品よ、使ってないのよ、箱はちょっと開けたが・・・」
「ちょうど大震災前に買ったのよ」
真っ赤な口紅の娘さんと母親は強烈アピールをしてる。

「年式を確かめますので・・・4年前、こっちは5年前ですね・・・でっか製品は年式が大切ですので」
俺の説明を2人は馬耳東風。
「幾らになるの?」、「新品だし高く・・」と第2段で迫ってくる。

どうしても年式には拘ってしまうのが買い手としてのお客さんの心情。
「そうですね・・XXXX円ですね」査定金額を言った。
娘さんは顔を歪めて、「・・・しょうがないか・・・」と母親を見た。

「冗談じゃないわよ、そんなんでは売れないわよ!」眉間のしわが深かった。
1件目があまりにも気分が良かったから、それを壊したくない。
だから一刻も早くこの場を離れたくなった、「それでは失礼します」と退散した。