リサイクル親父の日記

第785話 売れないと・・思い・・ますが  

2014/03/15

誰しも好きで気に入って買った物を簡単に安安とは手放せない。
それが俗に言う骨董品だと思って、そして相当の値段で買っていれば尚更だ。
保管もしっかり大事に大切にしてて、何十年も持ってた品だから無理もない。

「どうだい、幾らくらいになる?・・なに、別に売らなくてもイイんだがね・・・」
「そうだな、もう30年前だな・・・関東の骨董屋で、結構したよ」
「俺は気に入れば買うんだ、値引きなんかしないよ、言値で買ったもんだよ」

いつかも聞いた憶えのある言い方だった。
どうしても状況が似てるし、言い方も相似形をなすし、人柄も言動も似てる感じを受ける。
それにもの凄く雄弁でもある。

例えば、俺に質問をしてくる、俺は控え目に気分を害させないように丁寧に説明してると、
直ぐに彼は自分の言いたいことを話し始めるが、それが延々と続く始末。
口角泡を吹いてるが、話疲れが出ると、又、俺に質問をする。

だから1つの話が完結を迎えずに、次の話題に移ったかと思えば、またぞろ最初の話に戻ったりする。
これは「三歩進んで二歩下がる」という歌の文句のようで、もう30分も話してるが、内容が空虚過ぎる。
早く退散するのがイイのだが、彼はなかなかそのチャンスを与えてくれない。

数種類の品品は点数で10点ほどだった。
骨董品ではなかった、骨董店で売ってた現代品なのだ。
彼はそれが骨董品で、現在は相当値上がりしてる筈だと信じ込んでる。

自分が買った時は30年以上前だから、その前からだと勘定すれば、かなりの骨董品になってる筈らしい。
俺は何度も似た人と交渉してるから、彼の心情が手に取るように感じられた。
「・・売るのは勿体ないですよ、持ち続けた方がイイですよ・・・」

やんわり断ってるのだが、でも、これを数回言わないと次の言葉を言えない。
「そんなこと・・・兎に角さ、どれでもイイが・・幾らになる」と彼の語気が強まる。
例えば、指し値を言ったとして、彼は顔色変えて怒る可能性があるのだ。

「それでは・・あの甕は買ってもイイんですが・・・値段はX万円ですね・・・他はちょっと・・」
すると、彼は怒声を発した。
「なに!そんな値段じゃ、売れるわけねぇべ!!」

時に、買ったて骨董品(?)が何倍にも値上がりしてると想像してる人がいるんだ。
何百坪の敷地に100坪和風平屋が建ってるが、俺は長い庭を急いで出た。