2014/04/08
彼は朝一で来て、電化製品売り場を時間をかけて見てた。
時々、検品をしてるらしくてガタゴトと音がする。
そんな状態でもう1時間以上もあれやこれやと検討してるらしい。
例えば、ガステーブルは中央の魚焼きを引き出す時に音がするし、出したり引っ込めたりを繰り返すと音は激しくなる。
ガタガタッ、ズズー、ガッシャガシャと擬音がだらけで耳障りこの上ない。
洗濯機は大したことないが、冷蔵庫はバタン、パターンとドアーの開け閉めの時に発生する。
やがてレジカウンターに彼はやって来た。
「・・え~っと、決まりましたので、結構ありますから・・」
俺は彼に付いて行って、「ハイ、このレンジですね、それにガステーブル、プロパンでよろしいですね・・・」
冷蔵庫も洗濯機もコタツもFヒーターも買うことになった。
「実は・・運んでもらいたいのですが・・・それに・・取り付けもやってもらいたいんですけど・・・」
「配達も取り付けもやりますが、有料になりますよ」
「それは勿論、有料でイイんです・・・やったことないし、単身赴任なんて初めてでして・・」
中年でスーツを着込んでいるが、言葉も態度も丁寧で、それに非常にものおじするタイプのようだ。
「西中田なのでXXXX円ですね、何日にしますか?」
胸の内ポケットから手帳を取り出してスケジュールを調べる。
「・・土曜日が空いてるので、午後でお願いします」
住所を聞いた時は、ケータイから引っ張り出してたが、今度は手帳なのだ。
一つ一つを入念に記録したりしてるらしいが、どっちかに統一した方が良さそうに思える。
そうそうさっきの家電確認は、それぞれの寸法を計測してマンションの置き場所に入るかを検討してたそうだ。
「実は・・やっと部屋の鍵を渡してもらえて・・1月以上待ってて・・・初めに家電を・・もう少し経ったら家具とかも・・・」
真面目なのだが融通が利かないらしくて、キッチリとしないと納得できない。
そうしないと進めないタイプっているが、彼はイイ歳だし人生経験があってもイイだろうにって思った。
慎重で石橋を叩いて渡る感じで生きてきたかもしれない。
周りにやる人がいれば手を出さない、決まったことを決められた通りにはちゃんとやるが、それ以上はやらない。
好奇心は日常生活では押さえる、目立つことはしない、そんな感じだろうか。
何から何まで業者(今回はリサイクルショップの俺に・・)に任せるやり方。
大した作業でもないから、自分でトライすれば何とかなる筈なんだが・・・
金をかけないためにリサイクルショップを利用するんだろうが、徹すればイイのに・・・
俺の儲けよりも、彼の生き方に疑問を抱くのは大きなおせっかいですかね。